• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2021 Fiscal Year Research-status Report

主観的幸福感を用いた所得再配分政策の評価

Research Project

Project/Area Number 18K01673
Research InstitutionKyoto Bunkyo University

Principal Investigator

筒井 義郎  京都文教大学, 総合社会学部, 教授 (50163845)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 山根 承子  大阪大学, 経済学研究科, 招へい研究員 (40633798)
Project Period (FY) 2018-04-01 – 2023-03-31
Keywords幸福度 / 緊急事態宣言 / シングルマザー / 新型コロナウイルス感染 / 周りの人の所得 / 所得再分配 / 働きぶり
Outline of Annual Research Achievements

本年度は、主観的幸福に関して、3つの研究を行った。第1に、新型コロナ感染拡大が人々の幸福感にどのような影響を与えたかに関する研究を昨年度に引き続き、実施した。具体的には、①緊急事態宣言が実施されたことが、怒り、恐怖、不安のような感情に影響したのかどうかを調べた。また、②シングルマザーの幸福度が、新型コロナ感染拡大によってどのような影響を受けたかを調べた。その結果、シングルマザーの幸福度は新型コロナ感染開始時には日本人の平均の幸福度を上回っていたが、その後、大きく低下したことが判明した。また、女性の平均幸福度もシングルマザーほどではないものの、男性とシングルマザーの推移の中間をたどった。この結果は、社会的に弱い立場にいる人は、社会が安定しているときの幸福度は高いかもしれないが、負のショックに対してもろく、幸福度が大きく変化するという可能性があることを示唆している。日本においては、女性は男性より平均的に幸福であり、自殺者は男性の1/3程度であることが、日本で女性が弱い立場に置かれているという認識とどのように整合的であるかがこれまで不明であったが、この度の研究結果は、社会的立場の影響を見るには、幸福度の平均値よりも変動のほうが適切な指標である可能性を示している。ただし、その原因・メカニズム・一般性はまだ不明である。
第2に、サンプルをいくつかの所得階層に分けて、仮想的な所得再分配を実施した場合の幸福度のシミュレーションを検討した。再分配した時の「周りの人の所得」をどのように設定すべきかが重要であることが分かった。
第3に、所得再分配を行った際に、人々の労働意欲がどう変化するかを知るためのアンケート調査を実施した。予想通り、平均的には賃金が上昇した人は働きぶりを低下させる傾向が認められるが、この結果をどのように学術論文にまとめていくかはこれからの課題である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

個人内の時間的な変化を調べる固定効果モデルを使った推定が良い結果を得られない問題に突き当たっていた。いろいろな文献を調べ、計量経済学者の意見を尋ねた結果、おそらく、われわれの問題には、個人間の違いを推定するbetween 推定を用いるのでよいのではないかとの結論に達した。しかし、現在の経済学分野ではこのように考える研究者は少なく、論文を執筆しても掲載される可能性は小さいだろうと予想される。この問題について、このような(私個人の)結論に到達するのに、長期間を要したので、その分、出発点に位置する論文の完成が遅れ、全体の進捗が遅れることになった。
ただし、もう少し広い視点で、日本における幸福度の問題には取り組んできており、いくつかの論文を執筆し、また掲載した。その中で、シングルマザーの幸福度論文は貧困家庭の幸福度の問題を扱っており、本研究課題にとって重要な貢献である。
所得再分配によってどのように幸福度が改善されるかの研究は、暫定的な推定結果をもとに進めているが、そこでも、「周りの人の所得」をどのように設定するかについて、改善の余地がある。
このように、本研究課題では思わぬ問題に突き当たったが、これらの問題を解決していくことこそが重要な貢献であると考えている。

Strategy for Future Research Activity

2021年度に実施したアンケート調査結果に基づいて、所得再分配が労働意欲にどのような影響を与えるかの研究をまとめる。新型コロナウイルス感染によって人々の幸福度がどのように影響を受けたかの研究を進める。所得再分配のシミュレーションによって、平等化が幸福度を高めるかどうかを試算する。

Causes of Carryover

実施したアンケート調査の支払いが来年度となったため。

  • Research Products

    (3 results)

All 2022 2021

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 2 results)

  • [Journal Article] How does the impact of the COVID-19 state of emergency change? An analysis of preventive behaviors and mental health using panel data in Japan2022

    • Author(s)
      Yamamura, E., Tsutsui, Y.
    • Journal Title

      Journal of the Japanese and International Economies

      Volume: 64 Pages: -

    • DOI

      10.1016/j.jjie.2022.101194

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Analysis about Altruistic and selfish motivations: The case of the Hometown Tax Donation system in Japan2021

    • Author(s)
      Yamamura, E, Tsutsui, Y, Ohtake, F
    • Journal Title

      Japanese Economic Review

      Volume: - Pages: -

    • DOI

      10.1007/s42973-021-00083-x

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 地域公益とは何か?2021

    • Author(s)
      筒井義郎
    • Journal Title

      金融経済研究

      Volume: 43 Pages: 106-112

URL: 

Published: 2022-12-28  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi