2018 Fiscal Year Research-status Report
日本の労働市場におけるジョブマッチング理論の実証研究
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18K01675
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
玉田 桂子 福岡大学, 経済学部, 教授 (80389337)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ミスマッチ / 労働市場 / 賃金 / ジョブマッチング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、労働者と職業のマッチングの質(match quality)が賃金に与える影響を実証的に明らかにする。特にマッチングの質を時間に関して可変な部分と不変の部分に分け、その2つのマッチングの質が賃金に与える影響を分析する。このような試みはデータの制約や推定の複雑さから先行研究ではあまり研究されていない。さらに、先行研究においては、推定方法や対象となる国の違いにより、質の高い労働者が質の高い企業とマッチングするケースと質の低い企業とマッチングするケースがあることが示されており、頑健な結果が得られていないため、推定方法を新たに開発することによって新たな知見を提供する。 2018年度においては、まず時間に関して可変なマッチングの質が賃金に与える影響を分析し、労働者のスキルが企業が必要とするスキルを上回った場合、賃金は企業が必要としているスキルと同等のスキルを持っている労働者と比較して低くなり、労働者のスキルが企業が必要とするスキルを下回っている場合、賃金は企業が必要としているスキルと同等のスキルを持っている労働者と比較して高くなることを示した。この結果はWestern Economic Association International 93rd Annual Conference、Western Economic Association International International Conferenceで報告した。 さらに、時間に関して不変なマッチングの質についての推定を行うために、推定方法の開発を行っている。具体的には、マルチレベル混合効果モデルを用いてマッチングの質によって賃金がどのように変化するのかを明らかにできるようにプログラムを作成している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時間に関して可変なマッチングの質が賃金に与える影響については予定通り分析を終えることができた。当初予定していたデータでは分析が行えない可能性が出てきたが、OECDが提供しているデータセットを用いることによって分析が可能になったため、進捗には大きく影響しなかった。また、推定方法の開発についても概ね順調に進行しており、研究全体で順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、現在進行中の推定方法の開発を終了し、得られた結果をまとめて先行研究との比較を行ってその異同を示し、論文にまとめる。研究をまとめつつ、適宜学会やセミナー等で報告を行う。2019年度においては、Western Economic Association International 94th Annual Conference で報告を行うことになっている。
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Causes of Carryover |
不足が生じたのは、2019年3月の学会報告(Western Economic Association International 15th International Conference)のために英文校閲を行ったが、その料金が2018年度の残りの執行額では不足したためである。したがって2019年度に入金されてからの処理にすることとした。
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