2019 Fiscal Year Research-status Report
A dynamic general equilibrium analysis of negative nominal interest rates
Project/Area Number |
18K01679
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
中村 恒 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 教授 (80418649)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マイナス名目金利 / 名目金利の下限 / 銀行資本制約 / 金融政策 / 動学一般均衡分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年(2019年)度は、本科研費研究プロジェクトの2年目として、金融摩擦、とくに銀行の資本制約、の下でのマイナス名目金利の均衡マクロ分析について、研究代表者自身のこれまでのグローバルCOE事業や科研費研究プロジェクト基盤研究Bでの研究成果を応用する形で、数理モデルの基礎モデルを構築し、その研究成果を学会や金融業界に発信した。 具体的には、2008-10年度東京大学大学院数理科学研究科グローバルCOE事業「数学新展開の研究教育拠点」(ファイナンス班)での、繰り返し型効用の下で均衡金利の期間構造に関する自身の研究を応用することによって、内生的なマイナス金利の変動を説明する動学的な一般均衡モデルの基礎モデルを構築した。さらに、過去の2つの科研費プロジェクト「2013-15年度基盤研究(B)(一般):グローバル金融危機後の新しい金利・為替評価手法の構築(課題番号25285098)」や「2017-19年度基盤研究 (B)(一般):新たな局面に入ったグローバル金融規制と危機管理の再構築(課題番号17H02545)」での自身の研究を発展させ、銀行の資本制約がマクロ的に名目金利の下限を生じさせることも示した。 この間、デュポール大学(米国・シカゴ)に研究滞在しながら研究成果を国際的に社会に発信した。デュポール大学は、金融機関・リスク管理の研究に関して世界の最先端にあり、また,米国地区連銀であるシカゴ連邦準備銀行などの政策・金融実務と密接に交流しており,産学官の交流の拠点としてのデュポール大学での研究交流は本研究プロジェクトに大変有用であった。さらに令和2年(2020年)度の競争的な国際学会発表のために、令和元年(2019年)度に複数の国際学会への投稿を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
デュポール大学(米国シカゴ)での研究滞在を実施し、研究プロジェクトの基盤となる研究論文の第一稿を完成し、予定通り競争的な国際学会発表に投稿した。また、米国において政策・金融実務の現地調査や研究討論を継続して、論文を改善することに役立った。なお、COVID-19問題の発生により、令和元年(2019年)度末に予定されていた複数の大学・学会発表の予定が中止・延期となったものの、今後克服可能なレベルと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年(2020年)度は、本科研費研究プロジェクトの最終年度として、完成した基礎モデルにおける繰り返し効用モデルを一般化し、数値近似の数学的手法を駆使しながら、より豊富なモデルを完成させる予定である。さらに、このモデルを使って現実のマイナス金利・超低金利下での金融政策運営に関して政策含意を導き政策提言をしながら、本研究プロジェクトを完結させる予定である。 令和2年(2020年)6月までデュポール大学(米国シカゴ)での研究滞在を継続し、研究成果を国際的に広く社会に発信することに努め、論文改善して国際ジャーナルでの発刊を目指す。
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