2018 Fiscal Year Research-status Report
ファイナンス工学における動学的最適化問題と派生証券分析の高度化
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18K01683
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
江上 雅彦 京都大学, 経済学研究科, 教授 (40467395)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 拡散過程 / レジームスイッチモデル / 最適停止問題 / オプション価格 |
Outline of Annual Research Achievements |
レジームスイッチする環境下における最適停止問題の一般的解法の研究を遂行した。研究計画書に挙げていたように、もとの問題をレジームスイッチしない2つの最適停止問題のペアとして定義しなおすという方法が実際有効であった。このため、ほぼ満足のいく一般性のレベルにおいて、問題の解法手段を発見することができた。この研究は、"A direct solution method for pricing options in regime-switching models"と題する論文にまとめ、国際的査読付ジャーナルであるMathematical Financeに投稿し、平成31年1月にアクセプトされた。解きうる問題の範囲を拡大することができた点、幾何学的な議論による解法となるため、最適性の証明において、先行研究のように複雑な解析的証明を行う必要がない点は、経済学的・数学的貢献があると考えている。 拡散過程の時間転換に関する研究(任意の点の最終通過時刻からの時間反転)を行い、クレジットリスク管理への応用を完成した。さらなる拡散過程の研究として、Additive functional(加法的汎関数)を新たな時計として用い、もとの拡散過程をこの新たな時計によって記録するという設定を考え、その一般的性質を調べている。この設定は2つのマルコフ過程の組み合わせとなるため、より複雑で現実性の高い経済現象を表現することができ応用範囲が拡大するものと思料される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果を記録した論文が国際的査読付雑誌に掲載が認められたため。
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Strategy for Future Research Activity |
31年度においては、Additive functionalを新たな"時計"として用い、もとの拡散過程をこの新たな時計によって記録するという設定のもとで、ファイナンス工学において適切かつ有益な問題に応用する方針である。その後はマルコフ過程が消失する時刻において、どの位置にいるかという分布を研究し、企業が倒産した時点における企業価値の分布に応用する方針である。
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Causes of Carryover |
ほぼ予定通り使用することができ、平成30年度の未使用額は1,828円と少額であった。この金額を繰越すことにより、次年度分と合わせて書籍等の物件費に充当することが合理的であると考えたため次年度使用額が生じたもの。
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Research Products
(3 results)