2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K01686
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
芦谷 政浩 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (10304057)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 裁定取引 |
Outline of Annual Research Achievements |
経済学の理論では、市場では常に「一物一価」が成立し、裁定取引の機会は一瞬で消滅するとされている。しかし実際の市場では、金融市場のように同質財が低コストで取引される市場であっても、裁定機会が豊富に存在することが知られている。つまり、現実の市場は経済理論が仮定するほど効率的ではない。市場の流動性が不足すると「一物一価」からの乖離が生じやすいが、これによって裁定取引の機会が発生すると、裁定取引によって市場の流動性が回復する。つまり、「市場の厚み」と「市場の効率性」は、相互に影響を及ぼしあっている。 本研究課題では、この相互作用がオルタナティブ投資市場においても観察されるのかを、公営賭博市場を題材に検証する。公営賭博市場における勝者投票券(馬券や車券など)は、ある特定の事象が生じたとき、そしてそのときのみ払い戻しが行われるので、払戻条件が厳密に定義された条件付債券の一種と言える。そして公営賭博市場は、参加者が多く、多数の関連情報が公開されている点で、市場の構造が株式市場や債券市場と似通っている。さらに、勝者投票券が価値を持つのは満期日以降のみであり、満期日以降の価値は不変であるため、債券価格の割高度を判断する際に「満期日前に中途売却するオプションの価値」などを考慮する必要が無い。レースは高頻度で開催されるため、参加者が学習過程を短期間で繰り返すことにより、均衡への速やかな収束が予想される。 研究初年度である2018年度は、公営賭博市場における「市場の厚み」と効率性の関係を分析する準備段階として、日本の地方競馬(NAR)・中央競馬(JRA)・競輪・競艇のレースを実地調査した。そして、地方競馬の勝馬投票券の売上枚数データを入手し、その加工作業を開始した。全レース・全種類の勝馬投票券データを加工することは大変な労力を必要とするので、この作業は2019年度にも継続する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は、公営賭博市場における「市場の厚み」と効率性の関係を分析する準備段階として、日本の地方競馬(NAR)・中央競馬(JRA)・競輪・競艇のレースを実地調査した。そして、地方競馬の勝馬投票券の売上枚数データを入手し、その加工作業を開始した。研究計画初年度にデータ加工作業を開始することができたので、ほぼ予定通りの進行状況と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
全レース・全種類の勝馬投票券データを加工することは大変な労力を必要とするので、データの加工作業は2019年度にも継続する予定である。2019年度にはさらに、公営賭博市場において「一物一価」が成立していない具体例を、数多く発見する予定である。 2020年度は、「市場の厚みが増すと市場の効率性は高まる」という通説が公営賭博市場においても成り立つのか否かを、厳密な手法で分析する。さらに、「公営賭博市場における効率性を理想的な状況と比べたとき(=絶対的な基準)、市場の厚みは効率性にどの様な影響を及ぼすのか?」「公営賭博市場における効率性を他の金融市場と比べたとき(=相対的な基準)、市場の厚みは効率性にどの様な影響を及ぼすのか?」「効率性に影響を及ぼす主要因は、市場の厚みだけなのか?他の要因と複合的に作用することはあるのか?」「市場の厚み、あるいはその他の要因が市場の効率性に影響を及ぼす経路を、理論的に説明することはできるか?その経路は、他の金融市場と同じか?」といった問題についても分析する予定である。 2021年度は、それまでに得られた分析結果を論文にまとめて、著名な英文査読付き雑誌への掲載を目指す。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が197円生じているが、これは誤差の範囲であると考える。
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Research Products
(1 results)