2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K01686
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
芦谷 政浩 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (10304057)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 公営賭博市場 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、オルタナティブ投資市場の中でも特に公営賭博市場に着目して、「市場の厚み」と効率性の関係を分析している。本年度は、昨年度までに加工を進めていた地方公営競馬のデータを分析して、論文「Sales volume and efficiency of the Japanese racetrack betting market」を執筆した。 この論文では、日本の地方競馬場で2012年4月27日から7月26日までの3か月間に開催されたレースのうち、13頭以上出走のレースと払戻馬券があったレースを除外した3270レースのデータを用いて、市場の取引量と効率性の関係を検証した。馬券市場が効率的であれば、同じ払戻条件・払戻金額の馬券には同じ価格が付くはずである。そこで、「同じ払戻条件・払戻金額の馬券の間での価格差が小さいほど、馬券市場の効率性が高い」と定義して、様々な仮説を検証した。効率性を測る尺度を3種類提示し、それぞれについて回帰分析を行った結果、3種類の尺度のいずれを用いても以下の4点が成立することを発見した。(1)出走頭数が同じなら、売得金額が大きいレースほど、市場の効率性が高い。(2)売得金額が同じなら、出走頭数が少ないレースほど、市場の効率性が高い。(3)売得金額と出走頭数が同じなら、出走時刻が早いレースほど市場の効率性が高い。(4)売得金額が大きいレースほど、市場の効率性が高い。 これらの結果が他の公営賭博のデータについても当てはまるのかどうかを検証することが、最終年度の研究課題である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で述べたように、日本の地方競馬場の3270レースのデータを分析して、その結果を論文「Sales volume and efficiency of the Japanese racetrack betting market」にまとめることができた。公営賭博市場において「市場の取引量」と効率性に正の関係があることを明らかにできたことは、金融市場全般の効率性分析に対しても大きな意味を持つ。 さらに、公営賭博市場の非効率性を意味する「裁定取引の実行可能性」に関する研究についても、多大な進展があった。結果は次年度中に論文の形にまとめて、『国民経済雑誌』への掲載を目指す予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
論文「Sales volume and efficiency of the Japanese racetrack betting market」の改訂作業を進めて、海外の査読付き学術雑誌への掲載を目指す。 また、「裁定取引の実行可能性」に関する論文を執筆し、『国民経済雑誌』への掲載を目指す。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が307円生じているが、金額はそれほど大きくないので、本年度も計画的な支出を行う予定である。
|