2022 Fiscal Year Annual Research Report
Empirical Research on the Asymmetric Transmission Effect of Monetary Policy on Risky Assets
Project/Area Number |
18K01688
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小野 貞幸 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 准教授 (80602002)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 金融政策 / 株式市場 / 量的緩和策 / 金利政策 / 非対称性 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に加えて新たに実施した研究手法を以下にまとめる。まずサンプル期間を2022年12月まで拡張した。さらに伝統的な政策であるフェデラルファンド(FF)金利操作による金利政策の影響も分析した。この結果構造的VARモデルから量的緩和策と金利政策の予測不可能な2つのショック(QAショックとFFショック)を評価し、株式の超過リターンの説明変数として用いた。最後に分析対象としてグロース株とバリュー株を加えた。
研究成果を以下に述べる。まず線形回帰モデルからQAが、SP500と規模ポートフォリオすべてにおいて正にそして1%水準で有意に影響することが示された。一方FFは負の影響を示したが有意ではなかった。回帰係数の値から大型株よりも小型株が量的緩和策によってより大きな影響を受ける傾向を示した。この傾向は金利政策では確認されなかった。また、産業別ポートフォリオに関して、景気循環株が量的緩和策により大きく正に影響され、金利政策は負に影響するが産業ごとに大きな違いを示さなかった。市場状況による政策効果の非対称性も調査した。全体的にブル市場に比較しベア市場でQAの影響がより大きくなり、ベア市場時に小型株になるにつれ影響が強くなる。逆に、金利政策の影響がブル市場時により大きくなることが観測された。同様の結果がグロースとバリュー株に見られた。株式以外への影響も分析し、QAは仮想通貨や投資家信条に強い正の影響、FFは住宅価格指数と投資家信条に負の強い影響を示した。
量的緩和策と金利操作の効果をリスクプレミアム、キャッシュフロー、実質短期金利からの起因に分けて測定した。概して2つの政策どちらもキャッシュフローと実質短期金利への影響が強く、リスクプレミアムへの影響は比較的小さいことが見られた。QAはベア市場時にキャッシュフローへの効果が強まり、FFはブル市場時に実質短期金利への効果が強まることが示された。
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