2018 Fiscal Year Research-status Report
金融市場におけるジャンプリスクと資産価格形成に関する応用研究
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18K01690
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
生方 雅人 明治学院大学, 経済学部, 准教授 (00467507)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ジャンプリスク / オプションデータ / リスクプレミアム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はオプション価格から示唆される先を見据えた下方リスク(以下、LJVとする)と日本のリスクプレミアムの関係について検証をおこなった。先行研究では、予測ホライズンが1年以下の短期においては、伝統的な変数や分散リスクプレミアムを単に日本に応用しただけでは日本の株価指数の超過収益率を予測することは難しいという実証結果が多数であり、日本は他の先進国のマーケットに比べて注意深い検証が要求される一国として世界的に注目を集めている。 研究の結果、第一に、米国と日本の株価指数の超過リターンを自国のLJVに回帰すると、米国の結果とは対照的に日本のLJVは日経225株価指数の超過リターンに対して有意な予測力を持つという結果は得られなかったが、米国のLJVはとりわけドルベース測った日本のリスクプレミアムに対して有意で高い説明力をもつことが明らかとなった。これは外国人投資家が日本株式の売買金額の大部分を動かしている事実や、グローバルな投資家がmarginal investorとして機能している可能性と整合的であると言える。第二に、ドルベースの日本の株価指数の超過リターンはドル円為替レートのダイナミクスを含んでおり、実際に米国のLJVがドル円為替レートの対数変化率に対しても有意な予測力をもつという結果になった。第三に、アベノミクスを通じて日本銀行やGPIFが株式市場へ公的資金を巨額投入しているため、米国のLJVが予測力をもつという結果への影響を検討している。全体を通してアベノミクスに対する今回の分析結果は頑健であることが確認されたが、そうした株式市場への介入は、円ベースで測った日本の株価指数の超過リターン対する米国のLJVの予測力に負の影響を与えうることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の研究結果はワークショップや研究会で発表をおこない、論文として取りまとめ査読付き学術雑誌に投稿、改訂作業中である。また、平成31年度以降で新たにおこなう関連研究については必要なデータや設備はおおむね準備ができたところであり、着実に研究が進んでいる。こうした状況を踏まえて、交付申請時の研究実施計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に集中しておこなった研究については改訂作業を終え、平成31年度中に査読付き論文誌に受理されるように研究を進めて行く予定である。また、平成31年度には高頻度データを用いたジャンプベータの推計と時系列特性について研究を進め、研究発表も並行して行う予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 次年度使用額が生じている主要な理由としては、今年度に研究発表予定であった出張旅費について所属大学の予算で代替することができたためである。 (使用計画)平成31年度にデータの購入または大規模データ処理用のパソコンを導入する予定である。それに加えて、当初予定していた通りに平成31年度から開始している新しい研究のための研究活動に使用する。
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Research Products
(4 results)