2020 Fiscal Year Annual Research Report
Jump risk in the stock market with an application to asset pricing
Project/Area Number |
18K01690
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
生方 雅人 明治学院大学, 経済学部, 教授 (00467507)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ジャンプリスク / 分散リスクプレミアム / 高頻度データ / 株価指数 / オプション / 金融市場 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では第一に昨年度の研究成果を論文として完成させ学術雑誌に掲載した。この研究では日本の株式市場におけるマーケット・ポートフォリオの代理変数であるTOPIXに代表される市場全体に起因する株価指数収益率のジャンプに注目し、それに対する感応度として定義されるセクター別ポートフォリオのジャンプ・ベータを推計した。Econometricaにて公刊された研究論文Li, Todorov and Tauchen (2017)の手法を日本市場に応用した最初の研究として位置づけられる。実証分析ではジャンプ・ベータが時間を通じて一定かどうかの仮説検証をおこない、ジャンプベータを年ベースで集約した指標を作成するより、より細かい月ベースで指標を作成することが望ましいことが明らかとなった。さらに、ジャンプ・ベータの時系列特性として長期依存性が存在するという強い証拠は得られず、短期依存性を想定したモデルの重要性は失われるものではないということを明らかにした。第二に、分散リスクプレミアムの株価指数の超過収益率に対する予測力が従来の理論通りに発揮されないケースの1つとしてゼロ金利に着目し、ゼロ金利時には米国と日本において分散リスクプレミアムによる予測が難しくなるという実証結果を示した。また、このエビデンスを理論的に説明するためにゼロ金利を考慮した資本資産価格付けモデルを構築した。その研究成果をワーキングペーパーとして報告した。第三に、本研究期間中にJournal of Econometricsに掲載となった研究代表者の論文の発展可能性を追求した。株価指数オプションのデータを用いて計測される先行きを見通したジャンプリスク指標の研究分野では、欧米の研究者による成果を含めこれまでに高頻度データを使った例は過去にない。株価指数オプションの高頻度データを活用した発展的な研究を今後も継続していく予定である。
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