2021 Fiscal Year Research-status Report
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18K01694
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
吉川 大介 関西大学, 政策創造学部, 教授 (90735424)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | あいまいさ回避 / 不確実性 / 最適停止問題 / ディスポジション効果 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はあいまいさ回避を前提とした最適投資問題,あいまいさ回避によるディスポジション効果の説明,そして機械学習のファイナンスへの応用を主なテーマとして研究を進めた. 最適停止問題については,前年度までの成果をもとに,数学的な厳密性に注意を払う形で完成を目指した.具体的には最適停止問題を自由境界問題に変換する際に必要な境界のregularityの確立や境界の一意性の保証,エントロピー測度の変換問題などについて研究を進めた.Angelis and Peskir (2020),Cox and Peskir (2015),Wang, Hyndman and Kratsios (2020)などの近年の成果を援用しつつ,これらの作業は一応の完了をさせることができた. 2つ目はディスポジション効果についての研究である.投資において人はしばしば利益の確定には急ぎ,損切には躊躇する.理論的に最適な投資戦略を組んでも,こうした心理的な傾向のため十分な投資パフォーマンスを達成できないことがある.こうした傾向をあいまいさ回避のフレームワークで説明する研究を進めた.この研究成果は論文にまとめ公表した. 心理的な傾向によりうまく投資戦略を実行できない人間よりも十分に学習済みの機械のほうが投資をうまく実行できる可能性がある.こうしたことも動機の一つとなって,ファイナンスにおける機械学習の応用は近年急速に進んでいる.そこで,3つ目のテーマとして機械学習のファイナンスへの応用について近年の動向をまとめる作業を進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最適停止問題の解について数学的に厳密な条件を整理できたことは大きな成果である.また不確実性やあいまいさについての研究の範囲を拡げ,ディスポジション効果や機械学習といった新たなテーマを加えることができたことも大きな進展である.ここまでの理論的成果の実データを用いた検証の準備に目途をつけることができた.こうしたことから,研究はおおむね順調に推移していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
最適停止問題については,成果を論文にまとめ学術誌への投稿を目指す.ディスポジション効果については,本年度の成果をベースにして資産価格モデルの構築を推進する.また,これらの研究により得た知見に機械学習のテクニックを援用し,実データを用いた検証も計画している.
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Causes of Carryover |
感染症の影響などで学会や研究打ち合わせに係る出張経費が生じなかったため,次年度使用額が生じた.幸い,研究の進展にともないデータを用いた実証研究を進める目途が立ったので,翌年度分の助成金は主にデータ収集や計算設備の整備に充てたい.また情勢が許せば学会や研究打ち合わせにも充てたいと考えている.
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Research Products
(1 results)