2020 Fiscal Year Research-status Report
Empirical analysis of payout policy and shareholder perks in Japanese firms
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18K01697
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
芹田 敏夫 青山学院大学, 経済学部, 教授 (80226688)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ペイアウト政策 / 株主優待 / 株価急落 / 新型コロナショック |
Outline of Annual Research Achievements |
1)株主優待制度が個別株式リターンに与える影響の研究 株主優待制度の有無が株価急落期において株価急落を緩和したか、助長したかどうかについて、研究を続けた。すでにまとめた論文の改訂を検討し、そのためのデータを収集、整理し、仮説を検討し、実証分析を進めた。特に、2020年1月から始まった新型コロナショックによる株価急落に注目し、株主優待制度有りの企業および日銀によるETF(Exchange Traded Fund、上場投資信託)買入れ対象企業において株価の急落を緩和したかどうかの実証研究を行い、論文にまとめた。主な結果として、株主優待制度有りの企業が無しの企業に比べて株価急落を緩和する効果は見いだせなかった一方で、日銀によるETF買入れが買入れ対象企業の対象外の企業に比べて株価急落を緩和する効果を発見することができた。この論文を日本ファイナンス学会大会での報告の申し込みを完了し、2021年6月に報告の予定(確定済み)である。 2)日本の上場企業の約4割が株主優待制度を実施している理由とペイアウトとの代替性の研究 過去に行った全上場企業へのペイアウト政策(配当、自社株買い)および株主優待制度に関するサーベイ調査のデータ、および実際の企業のペイアウト政策および株主優待制度のデータを突き合わせつつ分析を継続した。世界の株式市場の中で際立つ、多くの日本企業が株主優待制度を実施している理由について、データを収集・整理し、実証分析を進めているところである。現時点では、株主優待は現金配当との代替制覇予約、実施理由の候補として、資本コストを低下させる、物言わぬ個人投資家を増やすことで経営者の地位を守る、などが明らかになりつつあるが、もう少し証拠を積み上げるための分析が必要となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
やや遅れている理由の第一は、2020年度に起きた新型コロナ感染拡大により、研究を進める上で大きな制約を受けたためである。具体的には、研究室へ行って行う研究活動が制限されたことで、資料やデータへのアクセスが遅れ、自宅での研究環境が悪いために効率的に研究を進めることができなかった。第二に、初めてオンライン講義を実施したために講義準備や提出物のチェック、など教育上の負担が急に重くなり、研究に割ける時間が減少したことである。
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Strategy for Future Research Activity |
1)新型コロナショックが日本の株式市場に与える影響について、まとめた論文を学会報告し、その後改訂し、学術誌に投稿を行う。また、新型コロナショックを含む株価急落に株主優待が与える影響についての論文についても、論文を改訂し、学術誌に投稿を行う。 2)日本の多くの上場企業が株主優待制度を実施している理由およびペイアウトとの代替性に関する研究については、理由を正当化する小規模投資家行動に関する理論モデルおよび仮説を確立し、それに基づく実証分析を進め、論文にまとめる。その際、株式市場の上場変更(たとえば、東証2部やマザーズから東証1部への変更など)にも注目し、新たなデータを収集、追加分析を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による研究の遅れが生じたため。
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Research Products
(2 results)