2023 Fiscal Year Annual Research Report
Progress of trade transactions in Asian currencies: Analysis by market transaction data and company interviews
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18K01698
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
清水 順子 学習院大学, 経済学部, 教授 (70377068)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 貿易建値通貨(インボイス通貨) / 基軸通貨 / 為替リスク管理 / 決済手段 / 円の国際化 / 人民元の国際化 / アジア現地通貨 / 直接交換市場 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アジア域内の貿易取引や決済において米ドル以外の通貨の需要がどれだけ高まる余地があるかという問いに対して、為替取引の市場データと企業インタビューという両面からアジア通貨の量的・質的な分析に取り組み、アジアの為替制度と金融危機対応のあり方に対する政策提言を行うことを目的とする。2023年度は、前年度と同様に財務総合研究所での関税データを用いた研究に加えて、全銀協の金融調査研究会での日本の金融活性化に向けた提言づくりとともに、これまでの研究成果の報告や最終年度においてコロナ禍で実施できなかったタイでの企業インタビューを実現することができた。 まず、財務総合研究所での税関データを用いた公募研究として産出された各国別の貿易建値通貨シェアを被説明変数として、インボイス通貨選択の要因分析を行い、学会報告をするとともに論文を完成させた。この論文は2024年5月には財務総合研究所のワーキングペーパーとして公開される。全国銀行協会主催の金融調査研究会(2022年-2023年)では、日本の大手金融機関や金融関係者とのインタビューなども踏まえて完成させた報告書の中に、本研究で分析した円建て取引拡大のための提言内容を盛り込んだ。また、2024年3月には財務総合研究所の便宜供与を受け、アジア各国の中では近年最も自国通貨建て貿易を伸ばしているタイに赴き、企業インタビューを実施し、日系の現地法人や金融機関、現地の地場の金融機関や企業、Bank of Thailandにバーツ建てをはじめとする貿易建値通貨を変更させる要因についてインタビューを行い、本研究で行った実証分析の結果を解釈する上で多くの示唆を得ることができた。これについては、今後の研究でも生かしていきたいと考える。
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