2021 Fiscal Year Annual Research Report
On the Relationship between Higher Moments in Consumption Growth Rate at a Household Level and Asset Returns
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18K01699
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
和田 賢治 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (30317325)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 家計調査 / 確率的割引因子 / 株価配当比率 / 安全資産収益率 |
Outline of Annual Research Achievements |
既存研究は解析解に2次の近似をしているのに対して、当研究は解析解のまま分析を行っている。また当研究のモデルの外生変数である、家計レベルのクロスセクション消費水準の分散の、時系列での変動は、データの性質として非常に大きい。そのため、厳密な解析解に基づく、確率的割引因子が高度に非線形な当研究のモデルでは、パラメータを変化させるとモデルからの金融資産のモーメントが大きく変化するという問題があった。最終年度はこの問題解決のため、各時点の家計レベルの消費に複数のフィルターを導入した。その結果、分散の時系列の変動は減少できたが、定量的には上記の問題は解決できなかった。また高麗大学のShin教授を研究協力者に迎え、シミュレーションによってモデルの定式化をしなおした。その際、外生変数はそのままで、確率的割引因子の期待値のみシミュレーションで評価する手法と、外生変数も時系列モデル化し、外生変数自体もシミュレーションする手法の2つを用いた。その結果株価配当比率のモーメントはモデル説明力が高いものの、安全資産収益率のモーメントは説明力が低い事が判明した。最後にシミュレーション導入により解析解を探さずに済むためモデルの拡張(非線形関数の積分=期待値の評価)がしやすくなったため、第一歩としてAbel型の効用関数をこのモデルに導入した場合の確率的割引因子の関数形を導出するところまで終了した。 研究期間全体では、1)既存研究の実証的に間違った仮定である、家計レベルの消費の成長率のモデル化を正しい消費水準のモデル化にし、2)既存研究の近似解とは異なり、解析解を用いたモデルにおいて、3)既存研究よりははるかに簡素なモデルにおいて、説明できるモーメントの数-パラメーター数でモデル説明力の評価をした場合、既存研究に劣らないモデルの構築および実証研究ができた。
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Remarks |
一橋大学第5回金融研究会 2021/06/24発表 武蔵大学経済セミナー 2021/06/28発表 横浜国立大学近経研究会 2021/10/18発表
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