2019 Fiscal Year Research-status Report
家計の金融資産保有に関する金融専門家の助言:どんな家計が誰の助言を求めているか?
Project/Area Number |
18K01704
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
藤木 裕 中央大学, 商学部, 教授 (90293969)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 家計の資産選択 / 金融アドバイス / 金融リテラシー |
Outline of Annual Research Achievements |
1.“Who needs guidance from a financial adviser? Evidence from Japan.” JSPS Grant-in-Aid for Scientific Research (S), Central Bank Communication Design Working Paper Series No. 011, University of Tokyo, 2019.を公表。本論文は、金融広報委員会の家計の金融行動に関する世論調査データ(以下データ1)を用いて、金融専門家のアドバイスを求める家計は金融知識が高い傾向にあることを示した。 2.“Cash demand and financial literacy: A case study using Japanese survey data.” Japan and the World Economy, 2020.を公表。本論文では、データ1と、2016年の金融リテラシー調査(以下データ2)を用いて、金融リテラシーに関して一般に用いられるデータ2が提供する指標と、データ1が提供する預金保険に関する知識の指標が類似の情報を持つことを示し、金融知識の高い家計は金融知識の低い家計よりも現金保有総額が高く、現金の総資産に占める割合が低いことを示した。 3.「金融商品の理解に関する実証分析」財務総合政策研究所『フィナンシャル・レュー』第142号第1号、42-62頁を公表した。本論文はデータ2を用いて危険資産をよく理解せず購入している顧客,複雑な仕組みの金融商品を購入するにあたって適切な対応ができていない顧客は金融リテラシーが低いことを示した。 4.「個人投資家の金融知識と資産形成」『証券アナリストジャーナル』2020年1月号、2020年を公表した。論文1の文献展望を拡張したものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
完成しているワーキングペーパー(論文1)が査読誌に採択されれば、当初予定していた研究(論文1,2)は終了であるほか、2019年の金融リテラシー調査データを新たに入手し、家計の決済手段選択、仮想通貨の需要と金融リテラシーに関する研究にも着手しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.論文1の雑誌採択を目指す。 2.2019年の金融リテラシー調査データを用いて、家計の決済手段選択、仮想通貨の需要に関する研究に着手しており、草稿を海外で研究発表の予定であった。 しかし、コロナウイルスの影響で、4月のスペインの学会が10月に延期されたほか、5月のカナダ、米国の中央銀行でのセミナーが中止され、6月の米国Western Economic Association発表はウエブ会議に変更された。もっとも、これらの機会に討論予定であった既知の海外研究者とは電子メールなどで交流可能なので研究は進捗できる見込みである。 3.日経新聞社の金融関係の個人データを用いて、家計の決済手段選択、仮想通貨の需要に関する研究を深める予定である。
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Causes of Carryover |
本年4月のスペイン出張が取りやめとなり、昨年度旅費に支出していた航空券代など約60万円が不要となったため。
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Research Products
(6 results)