2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K01710
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
吉村 淳子 (小枝淳子) 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (30549275)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 量的質的緩和(QQE) / 非伝統的金融政策 / マイナス金利 / フォーワードガイダンス / マクロ効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、非伝統的金融政策からの出口条件やゼロ金利制約を組み込んだSVARモデルを構築し推計してきた。30年度はその研究を引き続き行い、さらにその枠組みをさらに発展させ、2013年4月より開始した量的質的緩和政策(QQE)開始以降打ち出されてきた新しいタイプの非伝統的金融政策を分析した。 30年度の主な実績は、①複数年取り組んできた出口政策のマクロ効果について論文の最終版を完成させたこと("Exiting from QE"、共著、 forthcoming in quantitative economics)、②量的質的緩和(QQE)の非伝統的金融政策のマクロ効果を分析したことである。 ②の分析では、"Macroeconomic effects of quantitative and qualitative monetary easing measures"(単著、forthcoming in JJIE)という論文で、以下の政策効果について分析した。(a)量的緩和(日銀のバランスシートを拡大させる「純粋(ピュア)」な量的緩和)、(b)質的緩和(特に長短金利差(タームスプレッド)を押し下げるような緩和)、(c)超過準備 に対する付利(金利の下限)、(d)インフレに紐づいた利上げ条件。 論文の解説は経済セミナー2018年12月号で公表した。例えばマクロ経済状態によっては、付利の引き上げやインフレ利上げ条件の緩和は必ずしも引き締め(インフレや生産ギャップが押し下げること)を招かないという結果は、メディアを含め反響を呼んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に上記の二つの論文(①と②)の査読付き雑誌への公刊が決まった。
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Strategy for Future Research Activity |
一つ目の課題は当初の計画以上に成果が出たので、今年度は二つ目の課題である国債市場分析を進める。特にインフレになったら金利はどう変化するか等について分析できるマクロファイナンス期間構造モデルの開発を進める。
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Causes of Carryover |
前倒し支払の一部を次年度に繰り越したため。
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