2019 Fiscal Year Research-status Report
Developing Evaluation Models of Environmental Policies under Ambiguity by using Real Options Approach and Their Applications
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18K01714
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
辻村 元男 同志社大学, 商学部, 教授 (40335328)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リアルオプション / 曖昧性 / 技術進歩 / ロバスト制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間2年度目は,主に以下の研究成果を得た。 まず,制御対象の観測時間が離散的な場合について,観測費用に制御費用を加えた総費用を最小化するように,観測するタイミングと制御規模を求める問題を考察した。本論文では,観測情報が不足するため,制御対象の動学の定式化に曖昧性が存在する場合を考察した。特に,ブラウン運動に曖昧性が存在する場合について考察した。意思決定者の問題を,曖昧性下における確率インパルス制御問題として定式化して分析を行った。分析の結果,最適性方程式が一意な解を持つことを示した。さらに,得られたモデルをロジスティック確率微分方程式に従う個体群の管理問題に応用し,数値例を示した。 つぎに,上の研究を応用し,付着藻類や沈水植物の個体群を離散的にしか観測できず,観察するタイミングと個体群の駆除量を求めなければならない河川管理問題を考察した。本論文では,個体群の動学に,ダムによる出水の影響をPoisson過程で考慮し,ロジスティックジャンプ拡散過程に個体群の動学が従う場合について考察し,数値的に最適な観測時刻と駆除量を求めた。 最後に,学会報告を行った技術進歩についての曖昧性を考慮した2つの研究について述べる。それぞれ代表的な家計と企業からなる生産経済における社会的厚生を最大とする問題を考察した。一方は,アウトプットの副産物である汚染物質を削減する技術進歩に曖昧性が存在する場合について,central plannerの問題をロバスト制御問題として定式化し,最適な消費流列と投資割合を数値的に求めた。他方は,labor-augmentingな技術進歩に曖昧性が存在する場合を考察し,最適な消費流列と資本投資を数値的に導出した。汚染物質削減技術進歩は幾何ブラウン運動に従うと仮定していたが,labor-augmentingな技術進歩はPoisson過程に従う場合を考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究実績として,3本の論文を公刊し,国際会議(The 23rd Annual International Real Options Conference, The 2nd International Symposium "Social Innovation and Engagement in the Digital Society")や日本リアルオプション学会研究発表大会で研究発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に実施した研究を,以下のように拡張して研究を進める計画である。 1.技術進歩についての曖昧性を考慮した2つの研究を融合し,技術進歩がジャンプ拡散過程に従う場合を考察する。 2.アウトプットの需要に曖昧性が存在する場合における最適な資本投資を分析した研究を,急激な需要の変動を考慮し,資本の拡張・縮小問題を考察する。
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Causes of Carryover |
研究成果を国際会議で報告するために,資金を繰り越した。
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Research Products
(7 results)