2020 Fiscal Year Research-status Report
Developing Evaluation Models of Environmental Policies under Ambiguity by using Real Options Approach and Their Applications
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18K01714
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
辻村 元男 同志社大学, 商学部, 教授 (40335328)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リアルオプション |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間3年度目の主な研究成果として,(1)汚染物質削減政策と,(2)企業の資本投資について述べる。 (1)汚染物質削減政策として,確率的に蓄積する汚染物質を削減する政策について考察した。特に本研究では,政策実施主体が必要に応じて何度でも当該汚染物質を削減できる政策を考察対象とした。また,削減政策は,政策実施に要する費用構造によって2種類に分類される。1つ目の政策は政策実施に要する費用として削減量に比例した費用(比例費用)のみがかかる場合を,2つ目の政策は,比例費用に加えて削減量に変わらず必要となる固定費用も考慮した。こうした費用構造によって,1つ目の政策は特異確率制御問題として定式化され,2つ目の政策は確率インパルス制御問題として定式化される。定式化された問題を,それぞれ変分不等式,準変分不等式を用いて解き,最適な汚染物質削減政策を導出した。
(2)企業の資本投資の研究として,将来にわたる利益を最大化するために,アウトプットの需要に応じて,企業が資本の規模を拡張あるいは縮小する問題を考察した。本研究では,アウトプットの需要の取り扱い方を2段階に分けて研究を実施した。先ず,アウトプットの需要は確率的に変化し,幾何ブラウン運動に従う場合を考察した。次いで,アウトプットの需要に曖昧性が存在する場合について考察した。曖昧性はκ-ignoranceの概念を用いて表現した。両研究に共通して,企業が資本の規模を変更する時には,変更規模に比例した費用に加え定額の費用の2種類の費用を考慮した。こうした費用構造を反映し,企業の問題を確率インパルス制御問題として定式化した。定式化された問題は,準変分不等式を用いて解き,最適な資本の変更規模とそのタイミングを数値的に導出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究実績として,7本の論文を公刊した。残念ながら,Covid-19感染拡大の影響で,研究発表を予定していた国際会議が延期となり,研究発表は行えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に実施した(1)と(2)の研究を融合させ,以下のように拡張して研究を進める。 アウトプットを生産すると,副産物として汚染物質排出してしまう場合を対象として,企業の資本投資問題を考察する。すなわち,アウトプットを生産する資本への投資に加え,汚染物質を削減する資本への投資を組み込み込む。企業は将来にわたる利益を最大化するため,アウトプットの需要に応じて資本を拡張・縮小すると共に,生産の副産物として汚染物質を排出するため,排出量を削減する投資をしなければならない。以上より,2021年度は,生産資本への最適な投資タイミングとその規模と,汚染物質削減する資本への最適な投資タイミングについて考察を行う。
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Causes of Carryover |
研究発表を予定していた国際会議が2021年度に延期されたため,次年度使用額が生じた。使用計画としては,当該国際会議での研究発表や他の学会などへ参加する。
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Research Products
(8 results)