2020 Fiscal Year Research-status Report
近代内モンゴルにおける盟旗制度の変革と継承:「属人的」支配から「近代的」統治へ
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18K01721
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
広川 佐保 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (90422617)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 内モンゴル / 中華民国 / 蒙蔵 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、海外における調査が不可能であったため、国内における調査研究に変更した。具体的には、(1)蒙疆政権における文書史料の整理、(2)1930~1950年代に刊行された、モンゴル関係の定期刊行物(新聞・雑誌)の調査を重点的に実施した。(2)において調査対象とした定期刊行物は、主に下記の2点である。 まず1929~1930年に南京で刊行された雑誌『蒙蔵週報』(大阪大学附属図書館所蔵分)の記事を検討した。この時期は、盟旗制度を巡り、中華民国内で様々な議論が交わされた時期であるが、同雑誌には中央政府の民族政策と地方の動きを見る上で重要な内容を含んでいる。そのため、同雑誌の内容を検討した。 つぎに内モンゴル自治政府成立後、オランホトで刊行された漢語版『内モンゴル日報』(マイクロフィルム版、刊行は1948年~現在)から、1948~1953年における、内モンゴルの盟旗制度に関する記事の抽出を行った。同新聞は、内モンゴル近現代史の基礎的資料であり、制度的変革の実施状況を把握するために重要な資料と考えられる。また、モンゴル語版『内モンゴル日報』もわずかながら入手することができ、これらも併せて検討した。 以上を踏まえ、1930~1940年代、近代内モンゴル(満州国・蒙疆政権)におけるモンゴル関係の出版物の歴史について、広川佐保編『近代内モンゴルにおけるモンゴル語出版物の歴史』(成文社、2021年)として出版した。同書には「『蒙蔵週報』解題、および記事目録(1929~1931年)」も含まれている。 さらに書店を通じて中国やモンゴル国で刊行された地方志や資料の収集を行うとともに、国内の図書館所蔵の資料を調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた海外調査や現地の研究者との意見交換を中止するなど、計画変更を行ったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査を実施できないかわりに、出版社を通じて書籍や刊行物の収集を行うとともに、国内の文書館・資料館において資料調査を実施する計画である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により海外調査が不可能になったため、次年度へ繰り越した。
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