2023 Fiscal Year Annual Research Report
Dynamic Analysis on the Newly Industrialized Clusters and Market Creation
Project/Area Number |
18K01722
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
根岸 秀行 富山大学, 教育学部, 名誉教授 (30192694)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 岩行 和光大学, 経済経営学部, 教授 (40247193)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 産業集積 / 引揚 / 中小企業 / 戦後復興 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、前年度に引き続き岐阜既製服(アパレル)産地の専門業界紙「東海繊維経済新聞」および岐阜新聞など地元一般紙からの関連記事抽出とそのDB(データベース)化をすすめ、ほぼ1970年頃までをまとめた。また、岐阜産地形成の最初期に位置する岐阜駅前ハルピン街ヤミ市の実態とその岐阜繊維問屋町との接続を解明する好適な資料「引揚者在外事実調査票」の調査・テキスト化によるDB構築も進んだ(ただし、岐阜市全引揚者のカバー率は期待ほどではなかった)。これらと、既に蓄積した直接インタビューを含む口述記録を組み合わせ、1960年代から70年年代の岐阜産地の有力なアパレル産業集積(商工一体型)産地への飛躍のプロセスを解明する手掛かりを得た。 既にこれらを活用して、統制経済下のヤミ商人と自由経済下の恒常的商人との接続に関する分析を始めている。その成果の一つが、ハルピン街ヤミ商人と「岐阜繊維問屋町連合会」(1960年代に岐阜の産地化をリードした地元業界団体)に属する商人との人的つながりを解明した論文「岐阜繊維問屋町事業者と戦後引揚者の人的系譜―三つの名簿から―」(2023年)であった。この成果を発展させ、同「連合会」の役員らとハルピン街ヤミ商人とくにリーダー層との関係性を追究した報告「戦後引揚者ヤミ市の分裂と既製服事業者集団の形成」近現代史研究会(名古屋大学日本史研究室)例会、2024年5月15日、を行った。 また研究分担者は、論文「日本中小企業の海外進出の背景と誘因についての一考察―アパレル・縫製業を中心に―」(2024年)において、問屋町連合会に結集した既製服業者の一部が1960年代からしだいに海外調達に関心をもち実行に移す状況を明らかにした。これはその時点の繊維問屋町連合会の大多数事業者とは異なる方向であり、初期の段階で岐阜産地事業者間に矛盾が生れつつあったことが判明した。
|