2019 Fiscal Year Research-status Report
1960年代の中国経済と化学繊維生産設備の日本からの導入問題
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18K01723
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
久保 亨 信州大学, 人文学部, 特任教授 (10143520)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 現代中国 / 化学繊維工業 / ビニロンプラント / 日本 / プラント輸出 / 技術協力 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、研究課題に関する基本資料の収集に努め、その分析を進めるとともに、内外の学会に参加して研究報告を行い、多くの研究者との議論を深めた。とくに重要な意味を持ったのは、上海で開かれた「グローバルな視野の中でみた中国近現代経済発展の径路、制度と経済思想」国際シンポジウム(2019年8月25-26日)であって、本研究課題の中心的なテーマである化学繊維工業の中国経済の中における位置づけをめぐり、天然繊維素材の代表格である棉花生産との関係を視野に入れた研究成果を報告し、その後の議論を通じて多くの知見を得ることができた。 また上記に加え、2つのシンポジウム(「東アジアにおける戦時動員の位相――その衝撃と遺産」2019 年10月13日、京都民科歴史部会 12月例会「東アジアにおける資本主義の形成――中村哲著『東アジア資本主義形成史論』を読む――」 2019年12月7日)で研究報告を行い、日中両国の近現代史研究者、経済史研究者らと意見を交わすことができた。前者の報告については既に中国の学会誌に論文として掲載され、後者の報告内容は2020年度に活字論文として発表される予定である。 なお分析を進めた基本史料としては、1950-60年代の日中経済関係で重要な役割を果たした日中経済貿易センターの活動に関する史料、研究テーマに密接に関わる立場にあった当時の通産官僚渡辺弥栄司関係文献、中国社会科学院経済研究所の編になる『中華人民共和国経済档案資料選編』などを挙げることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初に設定した目標に従い、基本的資料の収集を進めるとともに、関連分野の情報を広く集め参照する作業にも着手している。千葉県幕張にあるアジア経済研究所の図書館、東京都本駒込にある東洋文庫の図書館などを訪れ、多くの文献資料類を閲覧し、コピーなどで収集することができた。 同時に並行して取り組んだことは、研究成果の一端を学会に発表することであり、「研究実績の概要」に記したように内外で開催されたシンポジウムなどで自らの研究報告を行うとともに、「業績」に挙げたような研究論文を発表することができた。ただし年度末から、新型コロナ・ウイルス禍の影響で国会図書館などが利用困難となり、やや研究活動に障害がもたらされている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画を開始して以降、2年間に収集し考察を深めた資料と内外の学会、研究会などへの参加を通じて得られた知見を基礎に、研究論文をまとめ発表する。、
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