2021 Fiscal Year Research-status Report
The Study of engineer education in modern China mining and manufacturing industry
Project/Area Number |
18K01727
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
富澤 芳亜 島根大学, 学術研究院教育学系, 教授 (90284009)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 近代中国の紡績業 / 中国の工業化 / 近代中国における外国資本 / 在華紡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、近代中国における工業技術が、社会主義化などの政治的な変動を超えて継承されたことの解明にある。令和3年度には、これに関連する以下の4つの成果を公表できた。 まず神田さやこ、富澤芳亜「工場労働者をめぐる中印比較:綿工業を事例として」は、2021年5月16日に神戸大学で開催された社会経済史学会2021年度大会におけるパネル報告である。ここでは近代の紡績工場労働者について、富澤が上海を、神田氏がボンベイの事例を報告し、中印両国の比較を行った。 「『世界の工場』としての中国」社会経済史学会編『社会経済史学事典』では、明代から現代までの中国の製造業の成長について概観した。「中国における外国資本:中国資本を圧迫したのか」吉澤誠一郎監修『論点・東洋史学』では、初学者向けに近代中国における外国資本の役割について、圧迫面のみを強調した通説を批判しつつ、多面的な作用を指摘した。「裕豊紡績工場長の回顧:澤井幸雄氏・西村利義氏インタビュー」『近代中国研究彙報』44号では、在華日本紡績業の中で、最も高い技術力を有した裕豊(東洋)紡の二人の工場長のインタビューを活字化することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度は、【研究実績の概要】に記したように、4つの成果を公表することができた。 しかしコロナウィルス感染症の世界的な蔓延により、本研究計画も影響ほ受けることになった。本研究計画は、中国現地の文書館所蔵の一次文書を用いて、近代中国における工業技術の形成過程を解明するものである。しかし、コロナウィルス感染症により、中国への渡航は事実上不可能であり、令和2年度に続き、令和3年度も現地調査を断念せざるを得なかった。それどころか、国内の研究機関の使用にも大きな制限がかかり、東京や京都に移動することも困難となり、勤務地である島根県松江市から移動することができず、史料調査が完全に不可能となった。 そのため一昨年度、昨年度の【今後の研究の推進方法】に記したように、古書店を経由して、研究計画に関連する多数の貴重な中国の古書を入手した。これにより多くの新たな知見を得ることができたが、はやり現地の文書館の一次史料に代わり得るものではなく、研究計画を一年間延長することになった。 コロナウィルス感染症の影響は研究成果の公表にも影響を与えていたが、幸いなことに社会経済史学会大会は、オンラインでの開催となり、成果の一端を報告することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
依然として、コロナウイルス感染症の蔓延により、研究計画の順調な推進は困難である。 本研究では、上海市档案館など中国の文書館所蔵の一次史料の利用を前提としているが、現状では中国への渡航はほぼ不可能である。しかし国内の主要な中国関連の図書館(東洋文庫、東京大学東洋文化研究所、京都大学人文科学研究所)の利用は可能となり、また移動も自由となりつつある。そのため国内の資料を利用しつつ研究成果をまとめる。 また資料収集では、古書店などを経由しての収集につとめる。またこれまで収集した資料の分析にもつとめる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行により、令和3年度に予定していた国内・国外出張を全て中止せざるを得なかったために次年度使用額が生じた。今年度の出張費、資料収集費に充てる。
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