2018 Fiscal Year Research-status Report
戦後復興期日本の経済政策と企業経営-経営史的視角による再検討-
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18K01728
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
北澤 満 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (10362261)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 産業史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、立案した年度計画の通り、戦後復興期に関する統計データの収集・整理、三井鉱山、三菱鉱業など各種企業資料の収集・整理・閲覧、および同時期経済史研究のサーベイを行った。資料類については、前年度以前に準備したものも多数存在するが、今年度においても、九州大学附属図書館記録資料館や、財団法人三井文庫において、先行研究で用いられていない資料を収集することができた。 そうしたなかから、研究代表者は、北澤満「炭鉱における『合理化』の再検討」という論題で学会報告を行った(政治経済学・経済史学会九州部会、2018年11月17日、於九州大学西新プラザ)。本報告は、炭鉱における「合理化」について、先行研究のサーベイを行いつつ、その問題点を指摘し、今後の石炭産業史研究の方向性を示したものである。とりわけ、研究のかなり初期の時点より炭鉱の「機械化」が過大評価されてきた点を明示したが、この点は急速に生産量が伸張する戦後復興期においても重要な意味を持つ。 研究協力者からは、木庭俊彦「戦後復興期における三井鉱山の再建整備」(『三井文庫論叢』第52号)という業績を得た。この論文は、今回新たに公開された三井本社資料のなかの、三井鉱山株式会社の経理関係内部資料を用い、戦後復興期、三井鉱山にとっては、企業再建整備期における同社の財務内容を詳細に分析し、通説とは異なる側面を明らかにしている。新資料を用いた分析なので、資料的価値が高いことはもちろんであるが、本論文の意義はそれのみにとどまらず、従来の研究が傍証などによる推測に留まっていた部分について、一次資料によって確認、更新した点が大きな貢献である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた資料の収集については、順調に進んでいる。また、論文・口頭報告など具体的な成果を、初年度より提示することができたことも、上記判断につながっている。さらに欲を言えば、口頭報告を論文とすることができればベストであったが、記述に万全を期すため、見送った。この点で上記の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究が進展するにしたがい、さらに必要な資料が増えてきたため、今年度も、昨年度と同様、かなりの部分を資料の収集・購入、閲覧、分析に費やすこととなる。具体的には、特に三井田川鉱業所の分析が進展しているため、今年度はこの部分について、口頭報告、および論文の刊行を進めていくことを目指したい。研究計画に、大きな変更はない。
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Research Products
(2 results)