2019 Fiscal Year Research-status Report
環大西洋経済圏におけるアメリカ南部と西インド諸島の奴隷貿易の展開
Project/Area Number |
18K01731
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
柳生 智子 慶應義塾大学, 経済学部(日吉), 准教授 (40306866)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | アメリカ南部 / 奴隷貿易 / 大西洋経済 / 奴隷商人 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年は本科研費の1年目であった2018年の世界経済史会議で報告を行ったアメリカ南部の長期的経済発展についてのパネルメンバーらと研究協力・共同研究が進んだ1年になった。同パネルのピーター・コクラニス教授(米・ノースカロライナ大学チャペルヒル校)を、植民地期南部の大西洋奴隷商人の活動に関する研究打ち合わせと東京大学駒場キャンパスアメリカ太平洋地域研究センター(以下CPAS)で行われた本科研費共催の研究集会で報告していただくため日本に招待した。共著論文は18世紀半ばのサウス・カロライナ植民地のチャールストンの商人の貿易分析についてであり、2020年度内にはアメリカの学術雑誌に投稿予定である。同時に、2021年度の世界経済史会議に向けて、前回のメンバーを中心にパネルの申請を準備し、2020年度前半に申請する予定である。パネルの内容は、アメリカ南部の資源(resources)についてであり、コクラニス教授のCPASでの報告は世界経済史会議でのパネルでも予定しているアメリカの農業資源に関する内容であった。本研究代表者はアメリカ南部植民地期の労働資源と奴隷についての報告を準備している。 一方、東京大学CPASで行われたハーヴァード大学のグローバル経済史家、スヴェン・ベッカート教授の講演において、コメンテーターとして招待され報告を行った。講演は「資本主義に内在する暴力:綿花の事例より」という内容で、本研究代表者は特にアメリカの南部と綿花の事例を起点として、昨今のアメリカ史研究で隆盛しているアメリカ資本主義史研究について議論した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初2019年度内に完成予定であった西洋経済史の著作が、共同研究者大阪大学大学院経済学研究科の山本千映教授の海外研究の都合などもあり進展が遅れている。長期休暇中の海外での調査は本年度も実現できなかったが、共同研究者の来日によって遅れていた分を多少埋め合わせ、次の年度に向けての指針が明確になった。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度はピーター・コクラニス教授との共同研究が完成し、アメリカの学術誌に投稿を予定している。また、事典のエントリーや書評などの業績が近々加わり、夏前には国内の経済史系学術誌に論文を投稿する予定である。2021年度の国際経済史会議のパネルの準備を進めつつ、西洋経済史のテキストの完成と、英語圏の出版社との出版契約(博士論文をベースとしたアメリカ国内奴隷貿易に関する著作)を目指す。
|
Causes of Carryover |
海外の共同研究者の招聘は実現したが、研究代表者本人による海外調査、国際学会参加などがなかった。機器・備品等については、来年度以降に新たにノートパソコンを購入する予定である。
|
Research Products
(2 results)