2020 Fiscal Year Research-status Report
環大西洋経済圏におけるアメリカ南部と西インド諸島の奴隷貿易の展開
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18K01731
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
柳生 智子 慶應義塾大学, 経済学部(日吉), 准教授 (40306866)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アメリカ南部 / 奴隷貿易 / 大西洋経済 / 奴隷商人 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は新型コロナウィルスの感染拡大で研究計画は大幅な修正を迫られた。大学の授業形態の変化などの対応に追われる中、研究時間の大幅な縮小、海外への移動を伴う研究活動(学会参加、海外資料調査)の中止により、研究活動の制限を余儀なくされた。そのような中で、2020年春に現在経済史学者によって執筆が進む『社会経済史学事典』に「奴隷制度」と「アメリカ南北戦争」の2項目の執筆を終え、秋には海外の研究者との共同執筆論文(植民地期サウス・カロライナのチャールストン商人層の集中度に関する考察)の完成と海外ジャーナルへの投稿、年度末に植民地期サウス・カロライナの鹿皮貿易に関する考察の論考を国内の学術誌に投稿し、現在いずれも掲載に向けて査読の結果を待っている状況である。共同論文は米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校歴史学部のピーター・コクラニス教授との執筆で、1735年から1775年までのチャールストンの商人層を取引品目(奴隷、鹿皮、一般商品)別に支払った関税額によって商人の集中度・独占度を計測した研究である。植民地期のアメリカ諸都市の商人層の分析、商人のネットワーク研究は近年関心が高く、今回の共同執筆における分析は新たな視角を提供できたと考える。また、植民地期の鹿皮貿易の分析は関税の資料の分析による取引商人層の考察に加え、鹿皮貿易が南部植民地経済を支える特色ある貿易であったことを詳細に分析した。特に北アメリカ内陸部への貿易圏の拡大、ネイティブ・アメリカンとの交渉は植民地政府、現地の商人やプランター、本国政府らの入念な戦略と緻密な関係の上に成立していたことなどを中心に論じている。国内では植民地期貿易の研究はほぼ進んでおらず、今年度に投稿した両研究は国内外において新しい見地を開くことになると期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は新型コロナウィルスの影響で研究計画に大幅な変更が生じた。海外調査や海外への学会参加はすべて見送り、通常の業務・仕事の時間は大学のオンライン授業などへの対応に追われ、予定していた論文や著作の執筆は順調には進まなかった。2021年度以降の国際学会の参加や共同研究の推進などを長期的に計画していたが、既に延期やオンライン化が決定したものもあり、今後も研究計画の修正を迫られることになる。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍による大学授業形態の変化や、研究計画の変更が今後どれだけ長く続くのか判断できないが、2021年度も国際的な移動を伴う研究活動は控え、国内の学会や研究会にオンラインで参加していく予定である。2012年7月には日本アメリカ史学会の例会での招待報告も決定している。また、2020年度末に書き上げた論文の掲載が最終段階にあり、現在取り掛かっている別の論文2本の投稿、契約中の西洋経済史のテキストの著作執筆を進めたいと考えている。また、2020年度に海外の共同研究者(米国・ノースカロライナ大学歴史学部ピーター・コクラニス教授)と執筆した論文が2021年度内には国際ジャーナルに掲載される予定もある。さらに、2021年度内に、海外出版社と著書の執筆の契約ができるようにプロポーザルを準備したいと考えている。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウィルスの拡大で、海外への移動を伴う学会参加や現地調査は全て中止となり、国内の学会もすべてオンラインで出張費用が生じなかった。2021年度も旅費はほとんど生じないと思われるが、書籍の購入をはじめ、出版にかかる諸費用、機材(パソコン)の購入などに助成金を充てる予定である。
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