2018 Fiscal Year Research-status Report
Reform of Taxation and Legal System in Republican China for prohibiting pseudo foreigners' name and nationality
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18K01733
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
本野 英一 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (20183973)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 債権債務処理 / 契約の履行 / 上海会審衙門 / 地方審判庁 / 合股企業 / 国籍問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年9月、連合王国に出張し、イギリス国立公文書館において、1907年から1930年にかけてのAnglo-Chinese British Subjects, Passports, Nationalities and Marriage etc., Passports and Visasと題する領事報告文書、さらには同時期の漢文文書ファイルを閲覧し、研究テーマに関連する文書のデジタルカメラ撮影を行った。これは、目下史料カードに買いて分析中。 昨年は英文論文を一遍執筆し、International Journal of Asian Studiesに投稿した。これは、外国国籍を取得することによって、上海租界内を管轄権に置いた会審衙門、あるいは租界の外を管轄権においた中国の地方裁判所(審判庁)による債務返済督促、身柄財産差し押さえを逃れようとする中国人の数々の試みを扱ったもので、現在編集委員会から「改稿の上掲載許可」の返事を受け取り、改稿中。 さらに、英米人法律事務所の名義を使って上海租界内部に多くの不動産を取得し、華人もしくは在華外国企業債権者からの追及を逃れようとする中国人債務者が引き起こす様々な民事訴訟の審理、特にその控訴審をどのように処理すればよいのかをめぐって生じた対立が、辛亥革命の混乱時に在華列国領事団が暫定的に管理を委ねられ、第一次世界大戦終了直後に想定されていた上海会審衙門管理権の中国側変換を遅らせていたのではないかという想定での論文を執筆中。これは年度繰り越しとなった作業である。 これ以外にも、辛亥革命直後から国民革命前夜に至るまで、在華外国企業から融資を受けながら債務返済を遅らせる華人企業や中国地方政府官僚の行動、特に中国の伝統的企業形態である合股企業の出資者の債務返済責任と国籍問題を扱い、2016年にソウルで開かれたAAS-in-Asiaで行った報告を元にした英文論文を作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ロンドンでの史料収集は成功した。現在はこれを史料カードにまとめる作業の傍ら、以前の科研で入手した史料にもとづいて執筆し、投稿した英文論文を編集委員会の指示にしたがって改訂中だし、もう一つ別な内容の論文を書いている所だから。 昨年入手した史料をもとにした論文は今年度末までには構想がまとめられる見込み。
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Strategy for Future Research Activity |
今年は、研究実績に記した論文を全て完成させる。併せて昨年イギリス国立公文書館で入手した文書史料全てに目を通し、史料カードを作成する予定。 夏休みには外務省史料館に赴き、日本側に残された日本国籍を取得して在華外国企業(この場合は特に日本人、日本企業)に対する債務返済を逃れようと図る華僑の活動と、日本政府が彼らの活動をどのように規制しようとしていたのかを記した史料を探索する予定。
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