2020 Fiscal Year Research-status Report
Reform of Taxation and Legal System in Republican China for prohibiting pseudo foreigners' name and nationality
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18K01733
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
本野 英一 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (20183973)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 商事裁判 / 華洋訴訟 / 名義の貸し借り / 会審衙門 / 上海臨時法廷 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年の研究活動は、一昨年の日本の外務省外交史料館での史料収集に引き続き、海外での史料収取と、以前の科研予算によって収拾した史料を用いて行った研究成果を著書にまとめる作業、さらに、今回の申請テーマに関する邦文論文作成、研究会報告に費やされた。 研究史料収集としては、2020年2月前半、ロンドン郊外にあるイギリス国立公文書館を訪問し、ここで当該主題に関するイギリス外務省領事報告ファイルの写真撮影を行った。具体的内容は、Anglo-Chinese British Subjectsと題する1907年~1915年にかけての交渉文書4冊と、Passports, Nationality, Marriages etc. と題する1913年から1930年にかけてのファイル12冊から関係ありそうな文書を、さらにこの時期にイギリス、日本国籍を取得することによって自らの財産保護を目論む中国人が関係していそうな事件の審理記録を含んだMixed Casesと題する3冊のファイル、さらに上海会審衙門に関する2冊のファイル、会審衙門返還後の臨時法院に関する9冊のファイルの写真撮影を行った。これでこの研究に必要な史料中、土地取引紛争並びに1930年代以降の当該主題に関する史料以外を入手したことになる。 次に、研究成果報告としては、以前の科研予算で入手済みであるアメリカ国務省上海総領事館ファイルに残された在華アメリカ企業が、自分たちの名義・財産を利用しようとする中国企業経営者を相手取って起こしていた商事裁判に関する記録を用いて、1903年から1918年にかけての両者の関係を明らかにした英文論文を刊行した。また、同じ時期に、上海租界に在住するイギリス企業が、租界に移住し、外国人弁護士の名義を用いて本来中国人には許されていない租界内の土地不動産を購入し、債権者の追求追求を逃れようとする有様を扱った論文を投降した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前回までの研究予算を用いて発表した論文を改訂して書き下ろし部分を加えた1870年から1931年にかけての中日英米間商標権侵害紛争と、これを背後で動かしていた在日華僑と中国商人の活動を扱った単独著書の準備作業を行っていたことが第一の理由。本書刊行のために、研究成果刊行助成費を申請したが、受理されなかった。著書原稿を改訂することになるであろうから、これにかなりの時間がとられるため。 同じく、1900年代から第一次世界大戦終了にかけての時期に、上海租界に移住し、外国人名義を利用して自らの所得財産を債権者の追求から逃れようと図る中国人の活動を扱った邦文論文を『史学雑誌』に投稿したが、査読委員会から採用却下されたため。 次に、昨年、一昨年とデジタルカメラで撮影した史料を読んで要約カードにまとめ直す作業が思っていたほど進捗していないから。目下、アメリカ国務省記録は、1926年末まで読み終えたが、まだ1927年から1929年にかけで上海臨時法院で行われた商事裁判記録が手つかずのままであるし、昨年イギリスで入手した史料もまだ半分も読み終えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の商標権侵害紛争に関する単独著書の原稿を再度書き改め、研究成果刊行促進費の再申請を行う。次に、『史学雑誌』から不採択を宣告された原稿は、査読委員から指摘された部分を書き改め、新たな史料を加え、英文論文に改訂して、海外の査読雑誌に投稿する。このほか、上海租界以外の土地で、外国企業名義を利用する中国人が起こした様々な事件、あるいは逆に中国人名義を利用する外国企業の活動を扱った民事訴訟事例を集め、今年中に1937年までの当該関係史料を全て読み終え、これも別な単独著書にするべく構想をまとめる予定。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で海外渡航出張が全て不可能になったから。本来ならば台湾中央研究院近代史研究所に史料を収集に赴く予定であったが、これができなくなったため、老朽化したタブレット端末の買い換え、その付属部品の購入、あるいは関連学術書の購入に切り替えざるを得なくなった。
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Research Products
(2 results)