2021 Fiscal Year Research-status Report
1910~30年代の北陸と宮城県における農業技術普及と土地貸借市場の経済学的研究
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18K01735
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
勘坂 純市 創価大学, 経済学部, 教授 (20267488)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 農業史 / 土地生産性 / 肥料 |
Outline of Annual Research Achievements |
20世紀初頭の農業の土地生産性の推移を郡さらには行政村単位で測定できるデータベースの作成を、石川県、富山県を中止心に引き続きおこなった。 研究を進める中で、生産性向上に大きな役割を果たした肥料投入が地域によって多様であったこと、その多様性が、各地域の農業(耕地整理の進展など)や社会(地主小作制なそ)とどのように関連するかを明らかにする必要性が改めて明らかになり、この課題を中心に分析を進めた。 この研究の成果を報告するため、11月には、Agricultural History Society, 2022 Annual Meeting: Greening the Field(s)(開催地 Stavanger, Norway、開催日時 Aug. 4-6, 2022) にプロポーザルを提出し、無事にアクセプトされた。報告のタイトルは、Organic fertilizers in paddies and dry fields: the nutrient cycle in modern Japanese agriculture。 この報告では、20世紀前半まで、日本で広範に用いられた有機肥料(人糞尿、堆肥、厩肥、紫雲英などの緑肥)の使用状況を数量的に明らかにしようとしている。肥料投入増加の全国的傾向については、Hayami and Yamada (1991)などが明らかにしており、様々な地域における肥料使用の個別研究は行われている。しかし、一定の地域で郡単位で多様な肥料投入の実態やその効果を明らかにした研究はない。この報告では、富山県、石川県、愛知県、岐阜県の郡単位の肥料投入の推移を通して分析する。さらに報告では、ヨーロッパにおける有機肥料、すなわち家畜糞やマメ科植物の緑肥 (Allen 2008; Guldner and Krausmann 2017)の利用との利用の比較も行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
各県統計書、米穀検査の資料調査、肥料調査などを用いてデータベースの作成と分析を進めた。また、入力したデータの数量的分析も進めることがでいた。とくに、富山県、石川県、愛知県、岐阜県の郡単位の肥料投入の分析を進めることができた。 しかし、以下の2点が大きな障害となり研究が遅れた。 1. 研究出張の制限。新型コロナウイルス感染拡大によって、研究出張の申請が難しくなり、十分な資料を集めることができなかった。また、各大学等の図書館を学外者が利用することも困難になったため資料収集が難しくなった。 2. データ入力補助を行う学生アルバイトの確保の困難。新型コロナウイルスの感染拡大によって、学生に対面で会うことが困難になり、資料の受け渡し、入力の打ち合わせに支障が生じたため、データ入力が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は最終年度となるので、研究成果をまとめるために以下の取り組みを行っていく。 1. 8月のAgricultural History Society, 2022 Annual Meeting: Greening the Field(s)(開催地 Stavanger, Norway、開催日時 Aug. 4-6, 2022) での研究報告 Organic fertilizers in paddies and dry fields: the nutrient cycle in modern Japanese agriculture の準備。 2. 欠けていた資料の補充。新型コロナの感染がやや落ち着いているので、各県立図書館や大学図書館における資料調査を再開し、欠けていた資料の補充を行う。 3. データ入力の完成。学生アルバイトを用いて遅れていた入力作業を完成させる。 4. 最終報告書の作成。8月の報告とそこで受けたフィードバックをもとに、最終報告書を完成させる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大のため、資料調査のための出張ができなくなったため旅費の使用がなかった。また、やはり新型コロナウイルス感染拡大のため、学生とのが困難になり、データ入力に学生アルバイトを使用できず、人件費のしようがなかった。 この結果、次年度使用額が生じた。
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