2020 Fiscal Year Research-status Report
エコシステム形成における大企業とベンチャーの相互作用
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18K01745
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福嶋 路 東北大学, 経済学研究科, 教授 (70292191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧 兼充 早稲田大学, 商学学術院(経営管理研究科), 准教授 (60348852)
新藤 晴臣 大阪市立大学, 大学院都市経営研究科, 教授 (70440188)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 大企業 / ベンチャー企業 / スピンオフ / エコシステム / 知識 / スターサイエンティスト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大企業とベンチャー企業の相互作用とそれが地域エコシステム形成に与える影響について検討することを目的とする。 今年度は、大企業からのスピンオフの最近の研究動向の理論レビューを発表した。そして産業集積形成の理由を、外部経済性からではなく、知識論の観点から説明し、その中でスピンオフが知識継承の仕組みとして機能し産業集積形成に大きな役割を果たすとするKlepperらを中心とする研究をレビューした。 調査研究については、大学からのスピンオフの主体となるスターサイエンティストの役割と、彼・彼女らがエコシステム形成に与える影響についての調査分析を行った。またフルート産業におけるスピンオフ事例、具体的にはムラマツフルートからスピンオフした3 社(三響フルート製作所、パールフルート〔パール楽器製造〕、桜井フルート制作所)を対象に、比較事例研究を行い、母体企業からの技術継承をはじめとする学習と、それがスピンオフ創出に与えた影響について考察した。 また本課題に資する調査対象として、今年度、アルプス電気盛岡事業所からのスピンオフを追加し調査を行った。現時点では、母体企業の技術や組織文化が、スピンオフ創出やその後のスピンオフ間の連携にも影響を及ぼすことが明らかになっている。 サンディエゴのエコシステム形成については、新型コロナ感染の影響で現地調査はできなかったが、来年度は状況を見ながら調査を再開し、またこれまで調査したものをまとめ、成果発表することを目指す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最大の理由は、新型コロナ感染拡大のため、調査活動に制約があったことである。特に海外に行くことができなかったため、サンディエゴのエコシステム形成については現地調査ができなかった。他方で、当初予定していなかったが、本課題の解明に資する新たな調査対象(アルプス電気盛岡事業所からのスピンオフ)が見つかった。その調査を精力的に行ったが、もう少し時間が欲しいので1年の延長を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方針としては、サンディエゴのエコシステム形成については、過去に集めた資料とオンラインで集められるデータを用いてディスカッションペーパーや論文にまとめて発表を行う。 アルプス電気盛岡事業所からのスピンオフとエコシステム形成については、新型コロナ感染拡大の状況を鑑みつつ、引き続き調査を継続する。そしてその途中経過をディスカッションペーパーや学会で発表し、専門家からの意見を伺う機会を設ける。
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Causes of Carryover |
昨年度から引き続き今年度も、新型コロナ感染拡大に伴い、計画当初計上していた調査活動や研究成果発表を行うことができなかったため予算が余った。他方で、このような現状の中で実行可能性がある調査を行うために、当該科研の課題に資する調査対象を追加したため、それに予算をあてる必要性が出てきた。よって来年度に繰り越す386,338円は、新たに追加した調査に優先的に研究予算を回しつつ、残額でそれ以前からの調査研究の成果発表を賄っていく。
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