2018 Fiscal Year Research-status Report
価値観の相互影響メカニズム及び従業員の組織行動との関連:衝突を成長の機会に
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18K01753
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
王 英燕 京都大学, 経済学研究科, 准教授 (10456759)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 社会的責任と理念 / 関係的アイデンティティ / 集団的アイデンティティ / 共有型リーダーシップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、価値観の相互影響メカニズムの研究を進める上で主となる(1)企業の社会的責任を果たす理念(2)関係的と集団的自己アイデンティティ(3)共有型リーダーシップの発揮の三つに絞って考察を進め、英文論文の発表と国内外の学会での発表を行った。 まず(1)の相互影響メカニズムであるが、企業の社会的責任を果たす理念に対する管理職の態度は比較的協力的であることが予想されるため、一般従業員の価値観に与える影響を重点的に分析した。周りに管理職など高い役職の人がいるほど、同じ集団で働く一般従業員への影響は大きい等の一連の仮設をリレーショナル・デモグラフィ理論を踏まえて提起した。これらの仮説は大手商社を対象とした調査データの検証で概ね証明された。 (2)では関係的と集団自己のアイデンティティ構築について理論的考察を行った。個人がどのように自分の概念とアイデンティティを捉えるかは、職場の行動に影響する要因の一つとされている。関係的と集団的自己のアイデンティティとは、即ち自分のアイデンティティの中に、積極的に職場の他者、または集団そのものを取り入れることであるため、関係的アイデンティティが高いほど、従業員同士の価値観の相互影響も強くなると考えられる。一方、集団的アイデンティティが高いほど、社会的アイデンティティを介して、組織からの影響を強く受けることも予想される。 (3)では共有型リーダーシップに関する理論的研究として、社会的交換理論を踏まえた共有型リーダーシップの類型を検討した。当事者意識を高めることは集団の効果的なリーダーシップ構築のために重要であるが、体系的にはまだあまり検討されていないことから、社会的交換理論を踏まえて、集団達成型、相互関与型、密着支援型という三つの類型が共有型リーダーシップの構成を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画であるモデルの構築という目標に対して、三つの側面からのモデルを構築することができた。企業理念、自己のアイデンティティとリーダーシップの側面から、それぞれ理念的価値観の相互影響メカニズムを検討したが、これらの理論分析は、今後の実証研究を進めるための土台として重要なものとなる。予定していた関西を拠点とした大手製造業企業からの聞き取り調査では、企業理念の確立と変遷、及び戦略的活動の展開の関連性に関する検討を行った。また、モデルの構築以外にも、過去の調査データを活かした実証研究も実施している。社会的責任を果たす企業理念に対する積極的な態度は従業員個人の価値観の重要な構成部分であるが、本研究のキー概念である理念的価値観と密接な関連があることを確認した。さらに、価値観の相互影響メカニズムとして、管理職など役職の高い従業員から普通の従業員に対する影響の構造的要因の検討も進んでいる。以上の成果と実施状況より、研究の進捗は概ね計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究も当初の計画通りに進める予定である。まず、初年度に提起したモデルを精査して完成度を上げ、全体のフレームワークをより明確な形で修正する。具体的には従業員同士の価値観の相互影響について、従業員のカテゴリー化を行い、分類して関係をより明確にした上で価値観の相互影響を考える。さらに、相互影響の部分に関しては、双方向的にモデルを修正して、他者からの影響だけでなく、どのように他者に影響を与えるのかという視点も加えてモデルを見直す。最後に、本研究の目的の一つである衝突がどのように成長に結びつくかという点に着目し、フレームワークを修正する予定である。初年度の研究では、価値観の相互作用メカニズムについて検討したものの、まだ衝突がどのように成長に結び付くかという重要な考察が十分でないため、この点をさらに掘り下げたい。 いずれも初年度の三つの成果の延長上となるが、今後の実証研究の準備として、調査測定方法の確立を重点的に進める。先行研究を参考にすると同時に、聞き取り調査も行い、本研究のために必要な新たな測定項目を開発する。また、関東圏の企業を中心にパイロット調査と本調査を実施し、価値観の相互影響メカニズム、特に、衝突が起きる可能性が高い変化の激しい環境での内的、外的状況の変化と、そこで発生する衝突がどのように個人や組織の成長につながるかを検証する。
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Research Products
(4 results)