2018 Fiscal Year Research-status Report
Studies on organizational capabilities for continuous innovation
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18K01755
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
宮尾 学 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (80611475)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イノベーション・ハブ / 組織能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,イノベーション・ハブへの投資が当該ハブの能力を高め,その結果としてイノベーション成果が得られるというモデルについて定量的な検証を行うことである。この目的のために,平成30年度は,1) イノベーション・ハブの役割に関する先行研究の検討,2) パイロット調査のデータ分析にもとづく質問票の開発,の2点に取り組んだ。 1)では,イノベーション・ハブについての先行研究レビューにより,イノベーション・ハブを設置する主要な目的が,既存事業からの分化,リソースを保有する既存部門との統合,人材の育成,の3点であることを明らかにした。また,それらの知見にもとづき,本研究において検証すべき仮説を導いた。当該研究成果は,宮尾学(2018)「組織機能としてのイノベーション」『国民経済雑誌』218(6), 27-43.として公表した。 2)では,イノベーション・ハブへの投資の状況やその能力を測定するための質問票案を国内製造業へ配布し,得られた約80件の回答をもとに,質問項目の検討を行った。探索的因子分析などの分析の結果,質問項目を絞り込んだ新たな質問票を開発した。具体的には,イノベーション・ハブの能力を実務レベルとマネジメントレベルで測定する質問項目や,イノベーション・ハブへの投資を人的資源管理の実践として把握する質問項目を開発した。なお,この新たな質問票の開発では,米国の共同研究者Gina O'Connor教授と,1回の現地での打ち合わせ(平成30年11月)および複数回のオンライン会議を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初提出した研究計画においては,平成30年度は,予備調査によって本研究の仮説モデルの検証可能性を明らかにすることを目標としていた。また,平成31年度は,過年度に得たデータの分析によって測定指標を改善し,次年度に行う大 規模な質問票調査の準備を整えることを目標としていた。これらの目標に対して,平成30年度の実績では,パイロット調査を実施し,そこから得られたデータの分析にもとづいて新たな質問票も完成させるところまで進行した。また,先行研究レビューにもとづいて,定量調査により検証すべき仮説の導出を完了した。以上の2点から,これまでのところ,本研究は当初の計画以上に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度(令和元年度)は,当初の計画を前倒しして,大規模質問票調査を実施するところまで研究を進めたいと考えている。すでに,質問票の配布・回収に協力してもらえる団体(日本生産性本部)とも打ち合わせを行い,研究に協力いただけるとの了承を得ている。質問票そのものの準備も完了しており,5月ごろには質問票の配布,回収を行い,年内にはデータ分析に着手したいと考えている。
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Causes of Carryover |
米国現地でのGina O'Connor教授との打ち合わせについて,別途計画した学会参加に合わせて行うことで,海外出張旅費を節約することができた。また,当初計画していた分析用パソコンや分析用ソフトウエアの購入についても,現時点までの分析作業は現状の設備で行うことができたため,次年度に繰り越した。 次年度は,当初予定していた大規模質問票調査を前倒しで実施するため,これらの繰り越し予算をそこに投入する予定である。
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Research Products
(2 results)