2020 Fiscal Year Research-status Report
Studies on organizational capabilities for continuous innovation
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18K01755
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
宮尾 学 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (80611475)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イノベーション / 組織能力 / 質問票調査 / イノベーションハブ / オープンイノベーション / 政治的スキル |
Outline of Annual Research Achievements |
当初計画では令和2年度において大規模質問票調査を実施する予定だったが,コロナ禍収束の見通しが立たなかったために,令和3年度に延期することとした。そのかわりに,次の2つの研究を推進し,大規模質問票調査を補完する結果を得た。 第1に,「オープンイノベーション・ハブの活動調査」では,平成31年度(令和元年度)に収集したデータの分析を進めた。その結果,イノベーション・ハブのインクルーシブリーダーシップと直接的な支援が,オープンイノベーションプロジェクトメンバーの自己効力感を高め,さらにメンバーの探索活動と創造的な活動の頻度が高まることが明らかとなった。この研究は,イタリアのミラノ工科大学Frattini教授およびバーリ工科大学Messeni Petruzzelli助教との共同研究として論文にまとめ,Creativity and Innovation Management誌に投稿中である。 第2に,情報技術エンジニアを対象とした質問票調査を実施した。本助成課題では,イノベーションを継続的に成し遂げるための組織能力を明らかにすることを目的としているが,そのサブテーマとしてイノベーション実現に不可欠な実験を促進する要因を明らかにするのがこの調査の目的である。調査では,情報技術エンジニアの心理的資本と政治的スキルの2点に注目し,これらと実験の実施頻度との関係を調べた。その結果,政治的スキルの高いエンジニアほど,多くの実験を行うことが明らかとなった。不確実性の高い実験を組織内で正当化するためには,政治的スキルを用いてネットワークを構築する必要があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では令和2年度において大規模質問票調査を実施する予定だったが,コロナ禍収束の見通しが立たなかったために,令和3年度に延期することとした。大規模質問票調査では,企業の代表者が企業全体について回答する予定だった。このような調査では,コロナ禍においては十分な回答を得られない可能性が高いと考えたためである。 そこで,上述の通り,サブテーマとして情報技術エンジニアを対象とした質問票調査を実施したのだが,これにはもう一つ別の目的があった。すなわち,質問票への回答単位を企業から個人に変更することで十分な数の回答が得られるか,確かめることを目的としていたのである。結果として,300以上の回答を得ることができたため,質問票への回答単位を個人に変更することは有効であることが示唆された。令和3年度は,この方法を採用し,より大規模な質問票調査を実施しようと考えている。 以上のことから,当初予定していた大規模質問票調査は延期したものの,進捗状況区分は「概ね順調に推移している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は,上述のとおり,新たな方法で大規模質問票調査を実施する予定である。質問票への回答単位を企業から個人に変更するためには,質問票の内容をそれに合わせて修正する必要がある。そこで,令和3年度はこの変更作業を行い,そのうえで調査を実施する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症拡大により,国際学会への参加がなくなったため。
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Research Products
(7 results)