2018 Fiscal Year Research-status Report
技能系老舗同族企業における事業・技能継承に関する研究
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18K01760
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Research Institution | Shizuoka University of Art and Culture |
Principal Investigator |
曽根 秀一 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 准教授 (70634575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 恭裕 関西大学, 社会学部, 教授 (30244669)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 老舗 / ファミリービジネス / 技能継承 / 事業継承 / 技能系企業 / 刃物産業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、初年度でもあるため、フィールド調査を中心に行い、そのうえで、これまで蓄積した情報、途中経過を加味しながら公刊、報告を随所で行った。フィールド調査については、具体的には、日本、ドイツの技能系老舗同族企業を調査対象とした。日本国内においては、代表的刃物産地である、岐阜・関および大阪・堺の刃物産地を訪れ、各博物館や企業を訪問し、資料収集、当主などへのヒアリングを行った。 関では、関鍛冶伝承館をはじめ、これらの技術を用いて、カミソリ分野で発展したフェザー社を訪問した。また、堺最古の企業である株式会社和泉利器製作所 代表取締役社長・信田圭造氏をはじめ、複数の関係者から聞き取り調査を行うことができた。 また、海外では、ドイツを訪問し、ゾーリンゲンにある刃物博物館を訪問し、刃物産業の歴史的調査を行い、同博物館のライブラリーでは図書館司書に助言を受けながら、刃物関係の資料を収集した。さらに、ドイツ・ゾーリンゲンにある刃物会社、ギューデ社を訪問し、経営者であるKarl Peter Born氏への聞き取り調査を行った。主にファミリービジネスの競争優位性について質問し、ドイツの刃物産業の現状、同社の戦略と競争優位性、ファミリービジネスの事業承継問題などについて意見交換を行った。ゾーリンゲン市内のLVR産業博物館ではドイツにおける刃物産業の位置付けについて調査を行った。 また、ゾーリンゲン市の金物店やショッピングセンターを訪問し、刃物産業の市場調査を行った。さらに追加調査を行うための段取りの構築を始めている。 今年度の研究成果としては、著書1、論文2(うち査読付き論文1)、発表4(うち国際学会3)という結果を残した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記、「実績の概要」で論じたように、日本国内外において、対象企業を訪問し、着実に調査を進め、資料の収集、聞き取り調査も順調に行われている。 さらには、代表者の曽根と共同研究者の上野は共にこれまで本研究テーマに沿って取り組んできたため、これまでの蓄積も含めて、着実に報告や論文執筆など、成果も積み上げている。また、両者は複数の共通の学会にも所属し、定期的にも情報交換を行う状況にある。 業績にかんしても本課題に関連した、論文、書籍、学会報告などを国内外で積極的に行い、着実に研究が進められている。 このことからも、「おおむね順調に進展している」といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目も引き続き、国内外の刃物産地や企業等を巡り、より広範にわたって情報を得ることとする。英国のシェフィールド等にも赴くとともに、海外との連携も引き続き維持していく。共同研究者同士の情報交換に加えて、フィールドワークなどから得た情報をもととした成果から途中経過の報告を行い、ブラッシュアップを図っていく。 そこで得た意見などを集約して、国内外において、学会報告、論文公刊など、積極的にアウトプットを行っていく。さらに、そこで得た意見をもとにより刷新を行っていく。
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Causes of Carryover |
1年を通じて、著書や論文の執筆に注力したため、フィールド調査などに赴く機会が減り、その際の交通費などが使用できなかったことがあげられる。 ただし、その回数は1~2回のため、研究の進捗状況に大きな影響はないと考える。
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