2020 Fiscal Year Research-status Report
技能系老舗同族企業における事業・技能継承に関する研究
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18K01760
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Research Institution | Shizuoka University of Art and Culture |
Principal Investigator |
曽根 秀一 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 准教授 (70634575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 恭裕 関西大学, 社会学部, 教授 (30244669)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 刃物企業 / 老舗同族企業 / 国際比較 / ファミリービジネス / ドイツ・ゾーリンゲン / 英国・シェフィールド / 企業統治 / 存続戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度における研究計画は、研究代表者の曽根および研究分担者の上野が研究課題を基本として、これまで両者が長年蓄積してきた内容の深堀りや新しい企業へのアクセスおよびフィールド調査によって得られた成果を国内外の学会などで報告および共著も含めた論文執筆、投稿を行った。 具体的には、上野・曽根(2021)によって、「刃物産地の生き残り戦略:イギリス・シェフィールドとドイツ・ゾーリンゲンの事例」と題して、『関西大学社会学部紀要』第52巻第2号より公刊した。 個別には、曽根が、吉村典久編(2021)の『ドイツ企業の統治と経営』(中央経済社)において、第1章「ドイツの企業統治(倫理)と経営への注目」、第4章「ドイツの中小同族企業の統治と経営」を担当した。ここでは、ドイツの中小、中堅企業を表す代表的な用語として、「Mittelstand」をあげた。具体的事例には、ゾーリンゲンの老舗刃物企業である、Robert Herder GmbH & CO.KG(創業1872年)などをとりあげ、ドイツの老舗ファミリー企業について執筆した。また、『ファミリービジネス学会誌』、『静岡文化芸術大学紀要』、『神戸大学経営学部ディスカッションペーパー』などにおいても国内外の老舗ファミリー企業について執筆ならびに公刊した。 学会報告にかんしては、組織学会年次大会、企業家研究フォーラム年次大会において研究報告を行うとともに、研究者やファミリービジネスの経営者らとディスカッションなども行うことで研究の発展が進み、貴重な時間となった。 また、曽根が、本科研の成果物である書籍『老舗企業の存続メカニズム」(2019年3月公刊)に対し、2020年7月に企業家研究フォーラム賞(著書の部)が授与された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の進捗状況は、一年を通して新型コロナウイルスの影響で海外渡航できなくなり、予定変更せざるを得ない状況となった。しかしながら、本研究は3年目に入り、今までの研究蓄積もあるため、アウトプットを年度当初より計画し、上野・曽根(2021)によってまとめられた。このことは両者の知識の融合、今後の研究課題について意思統一を図ることが出来た。 また、各自、国際比較研究に関連する内容についての成果報告も書籍、論文、学会報告等で公表しており、順調に進展しているといえよう。さらに、研究代表者が公刊した書籍が研究課題に関わる関連学会・団体より複数の学会賞を受賞し、一定の関連した成果を示すことができた。 新型コロナウイルスの影響で想定外も生じたが、これまで曽根と上野は当該分野での研究蓄積が多いうえに昨年度も新たに信頼関係が構築され、メールでのやりとりや情報・資料収集が可能となっている。このため、2021年度以後の刃物産地や老舗同族企業の比較研究にかんして準備段階にも入り、具体的な投稿先など打ち合わせ済みである。以上の点からもおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の研究実施計画は、①過年度から引き続き、理論的・実証的研究の継続およびフィールド調査の実施、②これまでの研究蓄積をもとに学会報告ならびに論文執筆・公刊を行うことである。 上記①については、本年度も引き続き、イギリス、ドイツ、関、堺などの刃物産地への調査を中心に計画しているが、新型コロナウイルスの状況次第では、これまで信頼関係を築いてきた企業とメール等も含めた遠隔でやり取りを行っていくことを考えている。また、日本国内の産地への調査に比重を置くことも検討している。 次に②については、国内外の学会での報告および、専門学術誌への論文の投稿を予定している。学会報告にかんしては、上野と曽根が、ファミリービジネス関連の学会において報告を計画している。さらに曽根がSpringer社から書籍(共著)を出版予定しているほか、国内の書籍や論文の執筆、公刊を通じて、刃物産地、老舗同族企業等の実態を明らかにしていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
昨年度(2020年1月以降)に渡英を予定していたが、新型コロナウイルスの影響で渡航が困難となった。2020年度も渡航を計画し、使用額を残していたが、世界中で感染再拡大が生じたため調整不可となり、やむなく渡航計画を断念した。このため、次年度使用額が生じた次年度(2021年度)の使用額を再度渡航等に充てる予定をしている。
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Research Products
(18 results)