2021 Fiscal Year Research-status Report
技能系老舗同族企業における事業・技能継承に関する研究
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18K01760
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Research Institution | Shizuoka University of Art and Culture |
Principal Investigator |
曽根 秀一 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 准教授 (70634575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 恭裕 関西大学, 社会学部, 教授 (30244669)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 刃物企業 / 老舗 / ファミリービジネス / ドイツ / 技能伝承 / SEW / ビジネスシステム / 長期存続 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度における研究計画は、研究代表者の曽根および研究分担者の上野が研究課題を基本として、これまで両者が長年蓄積してきた内容の深堀りや企業へのアクセスおよびフィールド調査によって得られた成果を国際学会などで報告を行った。そこで得た意見などをもとにして、論文執筆、投稿などを行った。 具体的な報告としては、上野と曽根の共同報告で、国際学会 2021 APFBS(Asia-Pacific Family Business Symposium)において報告を行った。また、曽根の単独で、国際学会JIMS (Jagannath International Management School International Conference)および、静岡文化芸術大学公開講座「匠とデザイン」において講演を行った。これまで調査を重ねてきた日本とドイツの企業をケース分析するとともに、産業の調査報告、比較検討なども実施した。 論文では、上野と曽根によって、これまでの調査をまとめたものとして、昨年度に続いて、『関西大学社会学部紀要』に日本とドイツの刃物産地、刃物メーカーについて、ファミリービジネス、SEW (Socio-emotional Wealth)の理論的枠組みから論じた。また、曽根は、『商工金融』2021年9月号にも本テーマと同じヨーロッパの老舗技能系企業に着目し、SEWなどもあげながら論文公刊した。 さらに、書籍では、これまでの成果報告も加えて執筆し2本の共著(分担執筆)があげられる。第一に、『新 経営戦略論』(2022年3月公刊)では、総論的にファミリービジネス、老舗企業、RBV(Resource-Based View)、SEW、ビジネスシステムなど、基本的な経営学の分析視角もあげながら企業の存続について論じた。洋書〝Theory and History in Regional Perspective″(2023年5月公刊)においても上記同様、SEWなどに着目しながら、わが国の老舗ファミリー企業などについても経年的な視点から詳細に論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の進捗状況は、長引く新型コロナウイルスの影響で本研究の重要案件の1つである海外渡航(英国、ドイツ)が出来なかったため、調査研究ができなくなり、予定変更せざるを得ない状況となった。しかしながら、その分、国内で共同研究を行い、国内外の学会において研究成果報告を実施した。研究代表者と共同研究者との共著も含め合計4本の論文、著書(分担執筆)を記したことは一定の成果を示すことができたと考える。今年度中の海外渡航も想定し、複数の刃物関連企業にもアクセス可能な状態となっている。 想定外も生じたが、これまで曽根と上野は当該分野での研究蓄積が多いうえに昨年度も新たに多数の企業との信頼関係が構築され、メールでのやりとりや情報・資料収集が可 能である。このため、引き続き2022年度以後の刃物産地や企業の比較研究にかんする論文投稿への準備段階にも入り、具体的な投稿先など打ち合わせ済みである。 以上の点からも、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2022度の研究実施計画は、①過年度から引き続き、理論的・実証的研究の継続およびフィールド調査の実施、②これまでの研究蓄積をもとに学会報告および論文執筆・公刊を行うことである。 上記①については、本年度も引き続き、イギリス、ドイツ、関、堺などの刃物産地への調査を中心に計画しているが、新型コロナウイルスの状況次第では、これまで信頼関係を構築してきた企業とメール等も含めた遠隔でやり取りを行っていくことも考えている。また、日本国内の産地への調査や刃物メーカーに比重を置くことも予備的に検討している。 ②については、国内外の学会での報告および、専門学術誌などへの論文の投稿も予定している。学会報告にかんしては、曽根が、6月に開催される国際学会SMEUCEにおける報告が受理されている。また、論文投稿については、これまで執筆してきた刃物産業にかんする論文の発展版の報告、執筆等を計画している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で海外渡航ができず、次年度使用額が生じた。今年度は、最終年度のため、主に国内外の旅費にあてる予定である。
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Research Products
(15 results)