2022 Fiscal Year Annual Research Report
Research on Business and Skills Transfer in Long-established Skilled Family Firms
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18K01760
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Research Institution | Shizuoka University of Art and Culture |
Principal Investigator |
曽根 秀一 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 教授 (70634575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 恭裕 関西大学, 社会学部, 教授 (30244669)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 老舗 / ファミリービジネス / 技能継承 / 事業承継 / 技能系企業 / 刃物産業 / SEW / ドイツ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、刃物産業という技能系老舗同族企業に着目し、その事業継承や技能継承にかんして理論的・実証的研究を行うことである。この研究課題に基づいて、研究メンバーは老舗同族企業の存続メカニズムを技能的な視点、伝統的な地場産業の視点から着目した。 フィールド調査では、世界の刃物産地として知られる、日本の関、堺、ドイツのゾーリンゲン、英国のシェフィールド等への調査を行い、比較研究を行うことが出来た。これらの研究を通じて伝統産業は地域に根付いていることから、伝統産業の活性化が地域経済に与える影響の大きさを示した。さらに、ファミリー性の多くの部分がSEW理論によって説明できることを論文等を通じ示したが、同時にその限界と新たな視点を提示した。共有価値とネットワークは、ビジネスの管理にとって非常に重要であるという実践的インプリケーションも示した。さらに、デザイナー、他業種の企業、業界組合など様々なネットワークを活用するだけでなく、ユニークな人材育成(職人の自社育成、大胆な研修制度、多能工の養成)に努めていることが明らかになった。また、ファミリービジネスとして家業の存続が大事だが、むしろ地域の伝統産業の継承が最も重要な経営理念、経営課題としてファミリーに継承されていると同時に、従業員にも共有されていることを事例を通じて示した。 こうしたファミリービジネスの競争上の優位性が多面的に生み出されることを示すことで、理論的な貢献をしたと考える。その研究成果は複数の書籍、12本の論文(うち1本の査読付き)の掲載として報告され、中小企業研究奨励賞本賞など複数の学会で学会賞を受賞した。
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