2020 Fiscal Year Research-status Report
Technology innovation leadership in corporate entrepreneurship
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18K01766
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
工藤 秀雄 西南学院大学, 商学部, 准教授 (10579767)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イノベーション・マネジメント / 技術経営リーダー / 経験学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、当研究テーマに当たる成果として、(1)統計的実証研究、(2)複数事例分析による実証研究、(3)研究レビューによる実証研究が成果としてあがった。統計的実証研究では、技術者1400名のデータから、技術者がイノベーションに関わるどのような経験を経れば、開発する製品の付加価値を高める能力を構築できるかを実証した研究成果が得られた。分析の結果、(1)技術開発経験および製品開発経験がその能力にプラスの影響を与えること、(2)技術職のみに長期的に関わり、あまりに多くの技術開発経験を得てしまうと、反対に付加価値を高める能力の向上が鈍化してしまうこと、(3)営業職を長期間経ながら、製品開発を豊富に経験すれば、付加価値を高める能力が高まることが結論として得られた。 また、複数事例分析では、製造企業において技術イノベーションを戦略的にマネジメントする技術経営リーダーは、いかなる企業内活動の経験を経ているのか、その経験蓄積プロセスには、どのようなパターンがあるかを明らかにすることに取り組み、23名の技術系トップマネジメントリーダーを対象に分析し、技術経営リーダーが育成されるパターンを解明した。そのパターンには三つの傾向がみられた。その傾向の第一は、製品・技術開発から製品戦略、技術統括、最後に製品・技術戦略の順に経験するタイプ である。第二の傾向は、製品・技術開発から製品戦略を経て製品・技術戦略に至るタイプである。第三の傾向は製品・技術開発の次に技術統括を経て製品・技術戦略に至るタイプ、もしくは技術統括に留まるタイプである。 研究レビューでは、イノベーションの戦略論における価値次元研究を対象に、製品の使用文脈や暗黙的な価値に着目する他の研究アプローチと比較してどのような理論的特徴があるかを探求した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度の研究成果として、3つの論文成果が得られ、経営学領域の研究成果の生産ペースとしておおむね順調といえると思われる。その成果は具体的に以下である。(1)工藤秀雄・延岡健太郎「技術経営リーダーへの軌跡 ―経験蓄積と学習のプロセス―」『一橋ビジネスレビュー』 68巻3号、158-172項、(2)工藤秀雄「イノベーションの戦略論における価値次元研究に対する批判的考察」『西南学院大学商学論集』 67巻3・4号、(3)工藤秀雄「技術イノベーションを戦略的にマネジメントするリーダーはいかにして生まれるか―製造企業の技術者を対象とした実証研究を通じて―」『西南学院大学商学論集』67巻1号 これらの研究成果は、(1)統計的実証研究、(2)複数事例分析による実証研究、(3)研究レビューの三つの領域にまたがり、成果のバランスが取れているといえる。ただし、当該年度中に蔓延したCOVID-19への感染予防の観点から、追加的なインタビューを行うため、他県へ出張等行うことが困難になっているのが懸念事項である。そのため、これまでの事例分析などから得られた質的な研究成果をもとに、質問票調査ベースのデータにより重点を置く研究へシフトし、統計的な分析から、本申請テーマの課題解明に取り組む方針に切り替えつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、本申請テーマに基づき、イノベーション・マネジメントまたはコーポレート・アントレプレナーシップを理論的背景とする予定である。他方、理論的なアプローチとして、組織行動領域で理論発展してきた職務経験を通じた学習や、人的資本・社会関係資本・心理的資本の概念を援用する。その上で、個人のイノベーターがどのような経験を経ながら、同時に知的資本(人的資本・社会関係資本・心理的資本)を高めることで、イノベーターの育成にプラスの影響をもたらす要因や要因間の相互作用を検討する。 現在、本申請テーマの遂行可能性を高めるため、日本最大規模の経営学系学会である組織学会において立ち上げられているプロジェクト「組織調査2020」に本申請者は参加している。当プロジェクトでは、本申請テーマの課題を解明するデータも収集出来ており、そのデータ規模は個人を対象に700名上にのぼる。そこで、本調査では当データを扱いながら、階層線形モデル等の分析手法を用いて、(1)職務経験がイノベーション行動に与える影響、(2)社会関係資本がイノベーション行動に与える影響、(3)心理的資本がイノベーション行動に与える影響、(4)職務経験と社会関係資本・心理的資本の相互作用を通じて、イノベーション行動に与える影響を検証する。なお、ここでいう職務経験とは、新規事業開発部門、営業部門、研究開発部門等の経験をいう。
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Causes of Carryover |
2020年度における世界的なCOVID-19の蔓延により、学会報告、研究会参加のための出張、インタビュー調査のための出張を行うことが出来ず、予算を計画通り実行することが困難となったため、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(3 results)