2019 Fiscal Year Research-status Report
産業史研究にもとづくイノベーションへの適応行動の解明
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18K01767
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
福島 英史 法政大学, 経営学部, 教授 (20313439)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | イノベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,二度のメジャーな技術変化と大きな市場構造の変化を経験した画像半導体産業の歴史的調査研究から,これまであまり注目されてこなかった専業企業と多角化企業が混在するグローバルな産業構造変化プロセスに焦点を当て,事業多角化や社内他事業の状況と,各国で異なる創業含む労働市場・資本市場・取引慣行等の制度環境が,企業のイノベーションへの適応行動に及ぼす影響を明らかにすることにある. 令和元年度には,主に産業の新陳代謝の背後にある労働市場・資本市場・取引慣行等の各国・地域のイノベーション・システムに関する研究についてその流れを追い,各研究分野の接合点について検討を進めることに注力した.その結果,次の知見を得た.これまで国や地域の革新力・競争力と,産業技術の発展メカニズムは多くの場合,別に議論されてきた.しかし本産業史研究の中間的な発見事実によれば,2つにはより深い動的関係がある.即ち確かに国地域の創業環境は各々特徴を持つ一方,その変化が産業構造・技術の変質を促しており,グローバルに連動しているものであった.創業・革新制度や産業・技術変動について国地域単位の議論では不足していると考えられた. 今年度参加した国際学会・国内学会では,イノベーションと戦略に関するセッションやシンポジウムにおいて,参加者と上記知見を中心とした議論を行い,いくつかのフィードバックを得た.他方,画像半導体産業の歴史的展開に関して,主要企業とその行動成果について,資料収集と分析の探索範囲を広げ地道な作業を進めるとともに関連研究者・実務家から聞き取りを始めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
画像半導体産業の発展に関する技術面及び市場面からの資料収集と分析について,一次データとして十分なアクセスが適わなかった主体があった.労働集約的で時間を要するものの,関連学会誌や関連主体による様々な報告書等二次データで補完を始めている.また,参加した諸学会で参加者から得たフィードバックに基づいて追加的な調査レビューを行ったことで,研究の整理が進んだ.アジア地域を中心とした新興企業とその成長状況について調査を進めることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
画像半導体産業の発展に関する技術面及び市場面からの資料収集と分析については,二次資料を中心とした時間はかかるが地道な作業をさらに進めるとともに,関連研究者・実務家から引き続き聞き取りを行う.社会情勢によって国際的・国内的な移動・面会制限が続く場合,可能な限りオンライン作業による補完を行う. 上記定量・定性データ分析から得られる発見事実および仮説構築の結果に基づき,十分な考察と議論を行う.企業によるイノベーション対応行動について,各国制度下の創業・技術開発と続く産業変化,既存企業の全社戦略の意思決定が,どのような形で影響するのかを明らかにする.歴史的事例研究を通じて得た発見事実と,仮説命題群・含意について論文化していくための作業を進める.
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Causes of Carryover |
購入物品の業者納品遅れによって,学内経費処理が遅れた.したがって上記の理由で生じた約22.4万円は過年度既に使用済みである.
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Research Products
(1 results)