2020 Fiscal Year Research-status Report
Reconsidering of the Brazilian Dies/molds Industry
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18K01768
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
馬場 敏幸 法政大学, 経済学部, 教授 (00359663)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ブラジル / 金型産業 / サポーティング産業・裾野産業 / 自動車産業 / グローバルバリューチェーン(GVC) / 産業集積 / 経済地理 / 移民研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度はブラジルの地場資本による最大の金型産業集積地ジョインヴィレの金型づくりの始まりと発展について考察を行った。これまで地場金型企業を訪問し、丹念にヒアリングを実施してきた。ヒアリング結果から、ジョインヴィレ金型産業集積の創始と発展について考察を行い、「ジョインヴィレ・メカニズム(Joinville Mechanism)」を提唱し公表した。 ステージ1(1930~70年代):国外金型輸入調達ステージ。必要な金型を国内調達できず、輸入調達に依存。ステージ2(1930~70年代):金型ユーザーの金型内製開始ステージ。金型ユーザーは必要な金型を得るため社内に金型部門を設置し金型内製開始。ステージ3(1970~80年代):胎動ステージ。ステージ2の金型内製部門で経験を積んだ技術者のうち、スピンアウト起業しようと考える技術者の出現。ユーザーは経営効率化などで金型外注検討。ステージ4(1970~80年代):誕生ステージ。ステージ3で創業を考えた技術者のうち、実際にスピンアウト創業する企業が出始める。それらの企業は当初十分でない機械設備で行える業務内容を行う。ステージ5(1970~80年代):形成ステージ(金型本体を製作する企業出現)。金型サポーティング企業が業務遂行の中で製造学習を行い、金型関連技能・技術を蓄積し習熟させていく。また利益の一部を投資することにより機械設備も拡充されていく。技能・技術の向上と機械設備の充実により、金型本体を製作する企業が出現し始める。ステージ6(1990~2000年代以降):発展ステージ。ブラジル経済の成長と共に金型需要が拡大。それにともない金型需要者の内製金型部門や、すでに創業した金型メーカーからスピンアウト創業し、ステージ4~5の経路をたどる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ブラジル金型産業集積の立地、状況、発展の経緯について、現地企業訪問視察とヒアリング調査をもとに丹念に明らかにしてきた。2020年度はブラジル地場資本最大の金型産業クラスターであるジョインヴィレ金型産業集積の誕生・形成と発展のステージについて、そのメカニズムを検討した。これらにより、ブラジルの金型産業の成立と発展のメカニズムについてかなり明らかに出来たのではないかと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度はコロナ禍により国外調査が困難な状況であると予想される。そのため、調査は統計を用いてブラジル金型産業について定量分析を行いたいと考えている。またこれまでの現地訪問・ヒアリング結果を詳細に考察し、金型産業クラスターごとの特色や成立メカニズムの比較分析を行う方針である。その際、ブラジル金型産業成立の特殊性として、各金型産業クラスターの核となる都市や企業の発展と移民との関わりについても考察・検討したいと考えている。 またこれらの研究成果については国内外の学会・専門誌などで広く公表していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
2020年度はコロナ禍により当初計画していた国外企業訪問調査が実施不能になった。また予定していた国外・国内学会はすべてコロナ禍によりウェッブによるバーチャル実施となった。このため調査費の当初計画に大きな変更を余儀なくされた。コロナ禍によりパソコンによる計量分析、パソコンでの各種バーチャル会議、バーチャル打ち合わせの頻度が増え、パソコンの使用頻度と必要性が急に高まった。そのためか使用していたメインパソコンが故障し作動しなくなってしまった。このため、今年度の使用計画として、研究活動のメインとなるパソコンの購入などにより研究体制を再構築し、コロナ禍での研究活動の基盤を整えたい。
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