2018 Fiscal Year Research-status Report
Bottleneck in design-driven product development and how to overcome it
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18K01775
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
森永 泰史 京都産業大学, 経営学部, 教授 (10405649)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | デザインマネジメント / 機能の論理 / 発生の論理 / デザイナーの関与創出 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、主に既存のデザイン・マネジメント研究のレビューを行い先行研究の整理や調査実施のための分析の視点の導出などを行ってきた(100本程度近い先行研究を収集し、それらの整理を行った)。 その結果、先行研究は大きく「デザイナーが機能する理由に注目した研究」と「デザイナーが機能する条件に注目した研究」に大別できることが分かった。前者の研究群では、デザイナーを活用することのメリットや、彼らがそのように機能する理由などが明らかにされてきた。一方、後者の研究群では、デザイナーとの協働を成功させるための条件や、デザイナーが機能する条件などが明らかにされてきた。 しかし、その一方で、先行研究は「機能の論理」に注目したものばかりで、我々が関心を寄せる「発生の論理」に注目したものがほとんど見られないことも明らかになった。通常、組織(社会)現象を説明する場合、大きく次の2つのアプローチがある。1つは機能の論理に注目したアプローチであり、もう1つは発生の論理に注目したアプローチである。前者は、なぜそれが機能するのかという静的な視点に立つものであり、後者は、なぜそれが発生してきたのかという動的な視点に立つものである。そして、このような観点から眺めると、先行研究は、前者の機能の論理に従って研究成果を蓄積してきた。 また、先行研究ではデザイナーには多様な関与の仕方があり、どう関与するかで得られる成果やアウトプットの性格も異なることが明らかにされてきたが、そのような関与の仕方は所与とされてきた。なぜ、多様な関与の仕方が生まれるのか。そのような関与の創出にマネジメントの巧拙は関係しているのか。関係している場合は、どのようなマネジメントが鍵になるのか。先行研究では、このような関与創出のメカニズムについてはほとんど明らかにされていない。本年度は、このように先行研が抱える課題と分析の視点の導出を行ってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は4年間の初年度にあたる。当初の計画では、1年目は文献レビューを通じて先行研究に対する本研究の位置づけや分析の視点の導出を目標としてきた。その目標は上記の「研究実績の概要」のところでも述べたように、概ね達成している。また、2年目以降は、文献サーベイやインタビュー調査を通じて、発生の論理の視点から見たデザイナーの関与の創出事例を収集する予定であるが、そのための準備も先行研究レビューと並行して少しづつ進めてきた。その意味で、概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、文献サーベイやインタビュー調査を通じて、発生の論理の視点から見たデザイナーの関与の創出事例を収集する予定である。具体的には、電機業界の現役・OB複数名に対してインタビュー調査を行うとともに、国会図書館などにおいてさまざまな資料の収集も行う予定である。そして、集まった情報や資料を基に、デザイナーの関与の仕方を類型化してみたい。
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