2022 Fiscal Year Research-status Report
Empirical research on institutional change and influence of social issues
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18K01782
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Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
寺本 佳苗 麗澤大学, 経済学部2, 准教授 (50610341)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 企業倫理 / 企業の社会的責任 / 社会的課題 / 制度 / サプライチェーン / 人権リスク |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はサプライチェーンの人権の課題に関わる制度の生成と影響について共進化の視点から研究を進めた。現在のCSR(Corporate Social Responsibility)の動きは個別企業の動きに任せたものではなく、国際機関や先進国企業群を中心に設計された制度に集約されつつある。この制度はそれぞれの地域が持つ独自の文化を尊重したものとは言えないため、地域に根ざした制度といえないものもある。地域を尊重した制度と制度の進化に影響を及ぼす要因を検討した。 CSRの場合、進出先国の途上国への進出によるCSRディバイドが議論されてきたが、より重要なことは、その開発された制度により相対的に弱い立場にある事業者をさらに追い込み、結果としての格差を助長するという、新たな文脈におけるCSRディバイドを引き起こしてしまうことである。このような状況を避けるために、これまではボトムアップでの制度設計が期待されてきた。 企業と制度の共進化を引き起こすにあたり、新興国のプレイヤーがボトムアップを目指して先進国のネットワークに参加して影響を及ぼそうとすることは、あまりに慎重な対応で変化のスピードは遅い。新興国のプレイヤーが不確実性を与え、あえて市場を複雑にすることで、現実を確実に変化させる制度を速いスピードで生成することができる。すると、新興国の文化に根ざした独自の制度を生み出し波及させることが可能になる。その制度に組織が集合することにより、パワーと情報量が増えて、より有用な制度への進化とリスク回避が可能になる。そして、その制度を支える技術を作ることの重要性について論じた。 この研究については地域デザイン学会編(2022)「CSRにおける企業と制度の共進化:地域に根ざしたCSRのための構造転換」『地域デザイン学会誌』 (20),93-112.に掲載している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで、先行研究と調査を進めてきた。文献のレビュー、調査も予定通り進んだ。研究の成果を出版し、国内では報告する機会を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
継続して分析を続けるが、まとまってきた研究の成果報告に重点を置く予定である。また、研究報告の機会を主に国外で得るために、アプライしていきたい。
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Causes of Carryover |
予定していた学会での報告をせずに、学会誌への掲載のみで、経費がかからなかったため。
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Research Products
(1 results)