2021 Fiscal Year Research-status Report
Empirical Research on the Effect of Mergers on HRM of German Enterprizes after the Global Financial Crisis
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18K01786
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石塚 史樹 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (40412548)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 人的資源管理 / 雇用システム / 労使関係 / 企業統治 / 人事労務管理 / 中小企業 / 組織能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度と同様に、コロナ禍を原因として、研究計画において重要な部分を構成するドイツ国内での企業レベルでの聞き取り調査を実施することが、年度を通じて実質的に不可能であった。というのも、フィールドワークの実施に不可欠な対面でのインタビューや参与観察、そして、企業内での文書調査の要望が、感染症予防を理由として、当事者より皆、却下されたためである。 そのため、現地でのフィールドワークを同年度内は一旦休止し、来年度以降の課題とすることになった。一方で、機械振興協会経済研究所と協力し、これまでは学術的研究が及ばなかった、ドイツ中小企業の金融危機以後における人的資源管理に関する二次文献を中心とした調査を実施し、その概要を明確にする作業に注力した。また、この関係で、ドイツ機械工業の中小企業の利益代表並びに独商工会議所の日本代表に対するインタビュー調査をオンラインベースで複数回実施し、そのエネルギー転換における組織的な対応と、これによる人的資源管理の変化について情報の獲得を試みた。この結果、エネルギー転換において、独機械工業が「電気自動車」一辺倒どころか、既存の「ガソリン車」の技術を中心に構築してきた組織能力を生かすために、日本の中小企業とほぼ同様の取り組みを行い、かつ、政策的に働きかけ、エネルギー転換の方向性に影響を与えようとしている事実が浮かび上がった。一方で、この組織的対応の概要を見出すために思いのほか時間がとられ、具体的な人的資源管理の構造の変化については、大企業とは異なる柔軟な、そして企業ごとに多様な構造を持っているということが明らかになったほかは、その詳細について十分な情報が得られたとは言えなかった。使用期間延長が認められた来年度においては、現地でのインタビューの本格的な再開が、大きな課題となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍のため、研究計画で重要な部分を占める、ドイツ企業におけるフィールドワークに基づく現地調査を行う道が、事実上絶たれた状態が、一昨年度に引き続き継続したため。これは、現地の当事者による調査許可が下りなかったことと、勤務先における海外出張に関するガイドラインが、年度の大部分において厳しく運用されたことによる。年度の遅い時期には、ワクチン接種も進んだことでこのガイドラインがやや緩和されてきたが、それでも、先が見通せない状況であったので、研究計画通りの調査遂行は見送ることになった。加えて、東北大学から明治大学への移動で必要となった準備作業により、年度終わりでの調査は見送らざるを得なくなった。一方で、機械振興協会経済研究所と協力することで、在日の独中小企業の業界団体と独商工会議所に対するオンラインでのインタビュー調査を実施することで、「中小企業」という側面から、調査を前に進めることが可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題の延長継続が認められた2022年度においては、ワクチン接種の進展及び全世界的な渡航制限の緩和の動きの進展が認められることから、当初の研究計画に従った現地調査の再開が可能であると思われる。このために現在、すでに年内におけるドイツの現地でのインタビュー相手に連絡を取り始めており、一部にはその許可を得ることに成功している。また、今年度も機械振興協会経済研究所と協力しつつ、中小企業に焦点を当てた人的資源管理の実証研究のための調査を様々な経路で継続的に実施することが決まっているため、当初の研究目的を達成できるようになると考えている。また、昨年度は、年度終わりに東北大学から明治大学への移動という大きなイベントにより、調査のための時間を捻出することが困難であったが、今年以降はそのような作業が必要なくなるため、当該研究計画の遂行が確実に可能になると考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、本研究課題の重要な部分を占めるドイツでの現地調査が実施できなかったため。また、東北大学から明治大学への移籍により、年度後半には移動の準備作業のために調査に必要な時間を捻出できなかったことも、これに影響している。
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Research Products
(5 results)