2020 Fiscal Year Research-status Report
Charisma Managers of Large Family firms and Corporate Governance
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18K01789
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
吉森 賢 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 名誉教授 (20182834)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | カリスマ経営者 / 企業統治 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はカリスマ経営者の貢献を考慮しつついかに企業統治規則、とりわけ世代交代を実現すべきかについての試論を提供するものである。 カリスマ経営者が国民経済において果たす影響力は日本のソニーと本田技研を見れば明らかである。両社のこれまでの運命はソニーの衰退と本田技研の発展により明らかである。ドイツにおいてもフォルクスワーゲン社とポルシェ社の発展はカリスマ経営者の貢献なしでは考えられない。しかし前者はディーゼル車排気ガス不正問題により多大な損害を計上せざるを得なかった。また両社のカリスマ経営者間の敵対的関係は一時的とは言え大きな混乱を引き起こした。 カリスマ経営者の支配する企業の企業統治はこの種の経営者の下記の性格により一般的な企業統治による規則の機械的適用は困難である。強固な企業家精神によりリスクを冒しつつ世界的企業へ発展させたカリスマ経営者は企業統治規則の定年規定を事務的に適応することは困難である。 1)カリスマ経営者の性格 ①自己が育てた会社との心情的一体化と社長・会長職への長期的在任の固執 ②分身としての企業の永続化 ③後継者育成と後継者決定の欠落 ④自信過剰による実力以上の経営行動 ⑤独断的意思決定と権限移譲の欠如 ⑥自己拡大による規則無視 2)企業統治によるカリスマ経営者の社長職・会長職の選任・退任の円滑化 会社の発展に例外的な貢献をしたカリスマ経営者の会社への愛着と一体化を尊重しつつ会社における世代交代を実現すべきか。以下にその手段を提示する。 ① 代表取締役社長と取締役会会長の原則的定年の規定と会社との接触維持 ② 社長の選任、再任、解任の条件の事前的明確化 ③ 人事は機関決定とする ④ 信頼できる相談相手の確保 ⑤ 社外取締役とカリスマ経営者 ⑥ 現場管理者、従業員との部門別研修会による問題解決の検討 ⑦ 従業員満足度調査
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カリスマ経営責任者と企業支配体制の循環的変化について仮説を立てるとともに、具体的な企業における、カリスマ会長をめぐる事件を考察した。
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Strategy for Future Research Activity |
ドイツ、フランスにおける技術者高等教育の比較に関する研究を開始する。
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Causes of Carryover |
PCの故障等もあり計画したように研究が進捗しなかったため、次年度使用が生じた。2021年度は、研究計画を遂行するための図書購入を中心に執行を予定している。
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