2018 Fiscal Year Research-status Report
内部労働市場における労働者の先験的選好の効果に関する実証研究
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18K01793
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柿澤 寿信 大阪大学, 全学教育推進機構, 講師 (70735315)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 人的資源管理 / 従業員満足度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ある企業の内部データを用いて、従業員の先験的選好が従業員満足度等に及ぼす影響を推計することである。この目的に向けて、ある企業(以下Z 社)の詳細な内部データを用いたケーススタディを行う。本年度の研究実績の概要は次のとおりである。 1.調査実施およびデータ統合:調査内容に関するZ社との協議および調査票作成を経て、2018年8月16日および17日の2日間にわたり従業員意識調査を実施し、全従業員の回答を収集した。また、本年度の人事マイクロデータも、Z社人事部より併せて受領した。従業員意識調査の結果をデータ入力すると同時に、人事マイクロデータのデータクリーニングを行い、両方を統合した単年度データセットを作成。さらに、過去年度のデータとの統合も行い、最新のパネルデータセットを構築した。 2.本年度の傾向把握・報告:本年度意識調査データの一次集計を行って全体傾向を把握するとともに、昨年度、一昨年度の結果と比較して経年変化の傾向も確認した。また、その結果を取り纏めた報告書を作成し、Z社人事部および経営陣に対する報告会を実施した。 3.学会報告:Z者における福利厚生制度の変更を利用して、従業員の個人属性や評価等とは無関係に与えられる報酬が、従業員の仕事満足度に対して与える短期的・中期的影響を計測し、第48回日本労務学会全国大会(於:九州産業大学)にて報告した。今後はさらにこの研究を進め、従業員個々人の危険選好や時間選好との係わりの推定を試みつつ、論文としての完成を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の従業員意識調査を予定どおり実施し、必要なデータの収集を完了した。また、データの一次集計を通じた全体傾向の把握、およびZ社から求められる報告も滞りなく進行した。また、本プロジェクトのデータを用いた分析を進め、学会報告も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度(平成31年度)は、ここまでに蓄積したパネルデータによる分析をさらに進め、論文の執筆を進める。並行して、従業員意識調査の調査票更新を進め、パネルデータの更新と新たな情報の獲得を目指す。
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Causes of Carryover |
調査準備段階のZ社との調整が比較的簡易なもので済んだため、訪問回数が想定よりも少なかった。また、調査に際して同行した学生アルバイトの人数も想定より少なかったので、その旅費や人件費が結果的に少額にとどまった。次年度は調査や学会の交通費等、学生アルバイト人件費、および英語論文のネイティブチェックなどに使用する。
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