2021 Fiscal Year Research-status Report
内部労働市場における労働者の先験的選好の効果に関する実証研究
Project/Area Number |
18K01793
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柿澤 寿信 大阪大学, 全学教育推進機構, 准教授 (70735315)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 人的資源管理 / 仕事満足度 / 先験的選好 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主目的は、ある企業(以下Z 社)の内部データを用いて、従業員の先験的選好が従業員満足度等に及ぼす影響を推計することである。この目的に向けて、当該企業の詳細な内部データを用いたケーススタディを行う。本年度の研究実績の概要は次のとおりである。 1.調査実施およびデータ統合:最初に、調査内容に関するZ社との協議および調査票作成を行った。今年度もコロナウイルス感染対策として、昨年度に続き二度目のオンライン調査となった。2021年8月17日から31日にかけて従業員意識調査を実施し、全従業員の回答を収集した。また、本年度の人事マイクロデータも、Z社人事部より併せて受領した。従業員意識調査の結果をデータ入力すると同時に、人事マイクロデータのデータクリーニングを行い、両方を統合した単年度データセットを作成。さらに、過去年度のデータとの統合も行い、最新のパネルデータセットを構築した。 2.本年度の傾向把握・報告:本年度意識調査データの一次集計を行って全体傾向を把握するとともに、昨年度、一昨年度の結果と比較して経年変化の傾向も確認した。また、その結果を取り纏めた報告書を作成し、Z社人事部および経営陣に対するオンライン報告会を実施した。 3.学会報告:これまでに構築したパネルデータを利用して、生活満足度アプローチを適用して仕事満足度の価値評価を試み、オンライン開催された第51回日本労務学会全国大会(於:神戸大学)にて報告を行った。 4.論文執筆および学会報告準備:Z社における時間外労働時間と仕事満足度の関係について、性別間の差(Genrder job-satisfaction paradox)の観点を加えた論文を執筆し、英訳を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ感染対応のため当該企業の訪問ができず、現場状況のヒアリング調査などについては大きな制限がかかった。とはいえ、昨年度に続きオンライン調査を無事に実施し、必要なデータの収集を完了した。また、データの一次集計を通じた全体傾向の把握、およびZ社から求められる報告もオンライン形式で完了した。また、関連データを用いた分析・学会報告や、本プロジェクトのデータを用いた論文執筆・投稿も行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和4度は、ここまでに蓄積したパネルデータによる分析をさらに進め、これまでの学会報告の論文化を進める。並行して、従業員意識調査の調査票の更新、およびパネルデータの更新と新たな情報の獲得を目指す。
|
Causes of Carryover |
コロナ感染対応のため、調査対象企業の訪問が一切不可能になった。本研究の予算は研究代表者およびデータ入力等を担当するTA若干名の旅費や謝金等を主としていたため、これらの支出が全て不要になった。
|