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2018 Fiscal Year Research-status Report

公共部門の外部組織利用を通じた自己革新メカニズムおよびその社会心理学的背景

Research Project

Project/Area Number 18K01795
Research InstitutionOkayama University

Principal Investigator

藤井 大児  岡山大学, ヘルスシステム統合科学研究科, 教授 (50346409)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 細川 宏 (金治宏)  中京学院大学, 経営学部, 准教授 (20758651)
Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords公経営 / ボランタリー組織 / 第一線公務員 / 心理学実験 / 少数派と多数派 / イノベーション / プロシューマー
Outline of Annual Research Achievements

第一に、地方自治体などの行政組織を対象に,新たな社会的課題の解決を民間企業や非営利組織など外部機関との協働を通じて行うメカニズムを事例研究によって探求するため,その予備的考察を行った。行政部門と外部機関との協働には市場の失敗・行政の失敗を補完するボランタリー組織の機能に関する議論が後知恵的にあてがわれてきた。行政にはない資源・能力を外部機関に求め,また資源的・情報的に劣位にある外部機関がそれらを行政に依存するという従来一般的だった考え方を一歩前進させ,行政自身が新たな資源・能力開発を実現するために外部機関との協働関係を構築し,組織改革を通じて自己革新するという論理を開発しようとした。
第二の研究は、その目的が多数派に対する少数派の影響力の源泉を考察したもので,先行研究をもとに探索的な計画実験を行った。少数派の意見が集団全体の見解として多少なりとも反映されるためには,それがいかにして可能かを考察する意義は小さくない。集団的意思決定の過程を,大きく2つの下位集団の間でそれらの量的構成が著しく偏っている場合に限定し,実験的状況において少数派の影響力がいかにして発揮されるかを分析した。
第三の研究は、技術的イノベーションの発生メカニズムを明らかにするという問題意識の下、日本型知識創造のあり方を巡って独自の理論的視座を構築しようとした。比較的長期にわたる時間軸の導入を前提とし、広く産業界で支配的パラダイムが成立する中で、それを個々の企業家のイニシアティブによっていかに転換できるのかを説明するため、藤井(2017)の議論を大幅に改定し「蟻の一穴」というべき小さな変化が大きなうねりへと変化していく可能性に着目した。また今般の技術的イノベーションが、トフラーの『第三の波』で予言された社会的分業間の架橋(生産者と消費者との融合形としてのプロシューマーの台頭)として位置づけられることを述べた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

社会心理学実験の構想については、目下予備的考察として公表したところであり、非公式なフィードバックによれば学術的厳密さがまだ足りないということだった。それは著者としても自覚するところであり、研究代表者の本年度の主たる作業として計画中である。また「蟻の一穴」理論に基づく論文の投稿を目指す必要がある。理論的考察への裏付けとして調べているリサイクルプラスチックのエピソードについて収集した資料を草稿に反映させられるよう作業中である。
公共部門の自己革新の事例研究については、このゆびと~まれのキーマンへのインタビュー調査をすでに行っており、収集資料の大枠を整えた。今年度中に、少なくとも事例を広く公開できるよう、研究分担者を中心に体裁を整える計画である。第一線公務員の理論的整理と、過去に収集したデータへの適用を試みているので、本事例への適用はこれからの課題である。
ネイティブ・アメリカンの調査研究については、理論的な視座として、エスニック・マイノリティの生存戦略(実際には、あまりそれが満足に機能しなかったもの)という観点を採用できると見通しを立てた。他方、当初狙っていた分析レベル(オレゴン州のNPOに注目する)では、実際にインタビュー調査を試みたところ、体系的な情報を得ることが難しいと思い始めている。エスニシティの社会学にも通じた専門家に意見を求めたところ、基礎的な文献を教示してもらうことができ、それによれば公的な資料としてネイティブ・アメリカンの歴史は体系的に保存されているわけではなく、断片情報からの推察に基づく考察が多いこと、またそれ故に現在でも地道なフィールド調査が行われていることが判明した。したがって相対的にマクロ・レベルでの調査にシフトする必要性を感じ始めた。

Strategy for Future Research Activity

社会心理学実験については、すでに行った予備的考察に基づき、包括的な文献サーベイと、予備的考察で用いた質問票を用いた実験計画の方法論的裏付けを確認したい。またエピソードの挿入については、理論的な整理がまだ足りていない。
このゆびと~まれの事例分析については、歴史的偶然性とキーマンの戦略的意図との複雑な絡み合いによって説明できたとして、それが公共部門の自己革新に関する理論的にどういう含意があるのかを明らかにする必要がある。
エスニック・マイノリティの戦略については、法学の専門の方から、日本国内でも十分な研究蓄積があるだろうとの話だったので、現実的にどこまで計画年度いっぱいまでに作業できるかを練り直す予定である。早急にレビュー論文を書くなどしたい。

Causes of Carryover

消耗品費として使用します。

  • Research Products

    (6 results)

All 2019 2018

All Journal Article (4 results) (of which Open Access: 4 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] 名古屋市における認知症カフェの現状とその運営に関する一考察2019

    • Author(s)
      金治宏・山本文香
    • Journal Title

      中京学院大学経営学部研究紀要

      Volume: 26 Pages: 49-58

    • Open Access
  • [Journal Article] 公共部門の外部組織利用を通じた自己革新プロセスに関する予備的考察2018

    • Author(s)
      藤井大児
    • Journal Title

      岡山大学経済学会雑誌

      Volume: 49 Pages: 75-81ページ

    • Open Access
  • [Journal Article] 多数派内少数者の影響力:予備的考察2018

    • Author(s)
      守矢 翔・藤井大児
    • Journal Title

      岡山大学経済学会雑誌

      Volume: 50 Pages: 1-10ページ

    • Open Access
  • [Journal Article] 日本型知識創造の理論構築を目指して2018

    • Author(s)
      藤井大児
    • Journal Title

      岡山大学大学院社会文化科学研究科紀要

      Volume: 46 Pages: 1-11ページ

    • Open Access
  • [Presentation] 資源循環型経済へのパラダイム転換試論 : プラスチック製食品用トレーの事例分析2018

    • Author(s)
      藤井大児
    • Organizer
      日本経営学会関西部会
  • [Presentation] 資源循環型経済へのパラダイム転換試論 : プラスチック製食品用トレーの事例分析2018

    • Author(s)
      藤井大児
    • Organizer
      日本経営学会

URL: 

Published: 2019-12-27  

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