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2020 Fiscal Year Research-status Report

公共部門の外部組織利用を通じた自己革新メカニズムおよびその社会心理学的背景

Research Project

Project/Area Number 18K01795
Research InstitutionOkayama University

Principal Investigator

藤井 大児  岡山大学, ヘルスシステム統合科学研究科, 教授 (50346409)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 細川 宏 (金治宏)  中京学院大学, 経営学部, 准教授 (20758651)
Project Period (FY) 2018-04-01 – 2022-03-31
Keywords公共部門 / 自己革新 / 少数者の影響 / ポリフォニー / ポスト構造主義
Outline of Annual Research Achievements

研究進捗は金治・藤井(2020)で行った事例報告で見られる通り、富山型デイサービスの先駆けであるNPO法人この指とーまれの設立の経緯を、富山県との関わりを中心に描き出すまで行った。その後、コロナ禍で調査が制約され、共同研究者とのコミュニケーションも難しく、大きな進展は望めなかった。
他方で、公共部門の自己革新プロセスに関する事例報告を並行してまとめ、戦略研究学会での報告(2020年11月21日オンライン開催)および中尾・藤井(2021)として公表した。この事例は、広島県と愛媛県を結ぶしまなみ海道がサイクリストを引きつけ、特にインバウンド観光客を集めるのに成功するまでの経緯を追ったもので、特に国による道路整備事業という公共事業に地方の創意工夫が上乗せされ、独自の観光資源開発に成功した事例として取り上げたものである。特に国、県、市町村という多階層の中央・地方政府、JB本四高速、地元企業や地域住民といった外部のステークホルダーらが社会的相互作用を行い、構想が形をなしていくプロセスに着眼したもので、この作業は行政の自己革新メカニズムという本研究の中心的テーマの理論的広がりと奥行きを拡大することに寄与した。
他方、多数のステークホルダーらによる合意形成のメカニズム、及びそれを社会心理学的な観点から理論化し、実験心理学的なアプローチによって仮説検証するという作業の進捗ははかばかしくない。この構想は、多種多様な事例を横断する基礎理論として位置付けようとしたものだったので、もともと速やかな研究進展を予定したものではなかったものの、さらにコロナ禍の諸制約によりさらに進捗が遅れ、深刻な反省点として認識している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

基本的にはコロナ禍で調査や研究打ち合わせが制約され、研究のためのエフォートが大きく削られたことが理由として挙げられる。また追加するなら、下記の通り、(必ずしも望ましいことではないけれども)研究関心の広がりが積極的意味のある遅延の原因となったことも挙げておきたい。
社会心理学的メカニズムを当初追求する上で、民主主義的な議論を通じた合意形成の過程、特に多数派・少数派の相互の影響関係を措定した論理開発を目指していた際に、実験心理学の方法論的特徴として被験者の意味世界に踏み込むことをあえて控えていた点に、見直しが図られた。というのは、多数のステークホルダーらの社会的相互作用を追う作業を通じて、調査対象となった人々の意味世界の輻輳性が興味深く思われるようになったこと、また偶然にもポリフォニーという視座と出会うこと、またポスト構造主義の立場による対話を通じた社会的構成プロセスへの着眼を得て、研究方法のトライアンギュレーションを実現する可能性が拓けたのである。
これらの新たな着眼は、仮に実験心理学的なアプローチの、いわゆる変数システム的な社会構造の認識に、より過程的な解釈を加える強力な助けとなると思われるとともに、民主主義的な議論・ステークホルダー間の社会的相互作用・対話による社会的構成といった人々の社会的営為からそれぞれの参加者が感じる喜びや幸福・動機付けといった副産物の働きという理論的発見があったと自覚している。
今年度その挽回を図りたい。

Strategy for Future Research Activity

(1)公的組織の自己革新メカニズム、多数派・少数派の相互の影響関係に関する文献レビューを進めること。
(2)公的組織の自己革新メカニズムについて、富山型デイサービスの事例研究を完成させること。特にステークホルダーらの家族観の差異に着眼することを検討している。
(3)多数派・少数派の相互の影響関係に関する実験計画を設計・実施して、最低でも予備的考察までまとめること。
以上を最優先の作業目標として掲げると同時に、(4)社会的相互作用から参加者が感じる喜びや幸福・動機付けに関する予備的調査・考察を展開していきたい。

Causes of Carryover

コロナ禍で研究遅延があったので、昨年度の予算は全学繰り越した。使用計画は、(1)文献レビュー、(2)公共部門の自己革新メカニズムの論文作成、(3)少数者の影響に関する実験計画の設計・実施に用いられる。

  • Research Products

    (2 results)

All 2021 2020

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] ビジネスケース:しまなみ海道の観光資源化2021

    • Author(s)
      中尾 光・藤井大児
    • Journal Title

      統合科学

      Volume: 1 Pages: 21-28

    • DOI

      10.18926/interdisciplinary/61887

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] しまなみ海道の観光資源化プロセス2020

    • Author(s)
      中尾 光・藤井大児
    • Organizer
      戦略研究学会

URL: 

Published: 2021-12-27  

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