2018 Fiscal Year Research-status Report
日本企業の本社(経営企画部門)の企業買収に果たす役割と課題の研究
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18K01804
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
清水 勝彦 慶應義塾大学, 経営管理研究科(日吉), 教授 (50579935)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 本社 / 国際化 / 企業買収 / 日本企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
グローバル化が進むビジネス環境において、戦略の意義がより重要となる今日、現場の頑張りで欧米先進国企業はもちろん、中国などの新興国企業と伍していくことはより難しくなっている。近年、国境を越えた企業買収(cross-border M&A)は多くの企業にとって必須の経営課題となっており、その中で経営トップを支える本社部門はどうあるべきか?これが本研究の「大きな問い」である。本研究の具体的な目的は「本社」の中でも企業の頭脳と例えられる「経営企画部門」の戦略的意思決定、特にM&Aに果たす役割(現状及びあるべき姿)と課題について明らかにすることである。 4年計画の初年度であった2018年度では、過去のM&Aにかかわる世界中の文献および学術論文の整理、レビューを行った。また、それと並行して日本企業の特長に関しても日本の文献やガバナンスに関する調査報告書などを参考にレビューを行った。そうした中で、1つ日本企業の特長と思われる「M&Aの中長期的な予算を公的に発表する」ことに着目し(欧米の複数の研究者に問い合わせたが、そうした行動は欧米企業では見られない)、セオリー論文を九州大学の内田大輔専任講師と共同で書き上げることができた。さらにこのセオリーから日本企業のデータを収集し、実証研究として別の論文に高め、Strategic Management Journal に投稿し、現在査読の結果を待っている状態である。 また、本社の研究においてもこれまでの自らの研究をふまえ、セオリー論文を書きあげ、2019Academy of Management Conferenceに投稿したが、残念ながら採択されなかった。しかし、本研究を援用する形であらわした論文はbook chapterとして発表できた。 今後は、こうした両面からの考察をより深め、融合する形で、冒頭にあげた本社機能のM&Aに関する役割に迫っていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、主要文献のレビューに関しては、cross-border M&Aおよび本社についてもおおむねできていると考える。その結果、今後のベースとなるセオリー論文についてかなりレベルの高いものを作成することができ、book chapterとして発表できた(「Examination of Japanese firms’ announcement of M&A budgets: From the perspective of signaling theory and impression management theory」)。さらには実証研究のためのデータ収集を行い、Strategic Management Journal という経営戦略分野ではトップクラスの学術誌に投稿することもできた。本社の役割に関するレビューもかなり進めることができ、過去の研究と融合させてbook chapter として発表できた(「In search of a last straw: An exploratory study of decision change timing and triggers」)。ただ、前述のように 2019 Academy of Management conferenceに採択されなかったのは理由があるはずであり、その点はより注意をして今後進めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
Cross-border M&Aという視点では、現段階ですでにStrategic Management Journalに投稿した実証論文に対するフィードバックを待って、日本企業のM&Aに関する問題をもう一度整理したい。それを踏まえ、直近のニュースをフォローしながら企業及び関係プロフェッショナル(投資銀行など)に対するインタビューを始めていく予定である。 本社部門に関しても同様での方針であるが、次の2点に留意して進めていきたい。(1)セオリー論文のさらなるブラッシュアップにより2020年度のAcademy of Management conferenceで採択・発表できるレベルにすること(2)すでにある程度のコンタクトのある企業とプレインタビューをしっかり行い、本格的なインタビューを開始するための「フレームワークづくり」としっかりとすると同時に、本格的なインタビューを行っていくための候補先の絞り込み及び、コンタクトを始めていく必要がある。
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Causes of Carryover |
近年海外の学会参加のコスト(特に航空券)が上がっており、その分がかなりかさんだが、本年は主に文献のレビューが中心であったため、インタビューを行ったりアルバイトを雇用したりするコストはあまりかからなかった。結果として8,346円の残額が残った。
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[Book] Advances in Mergers and Acquisitions2018
Author(s)
Sydney Finkelstein, Cary L. Cooper, Katsuhiko Shimizu, D. Uchida, S. Teerikangas, N. Reynolds, J. Berrioategortua, O. Olasagasti, B. Florencio, E. Labbas, P. Sahib, T. Doan, J. Yang, M. Lander, D. King, S. Schriber, F. Bauer, S. Amiri, R. McKinney, D. Shao, L. Shao, M. McInerney, T. Goecke, B. Michaelis, L. Schweizer
Total Pages
190
Publisher
Emerald
ISBN
978-78756-136-6
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[Book] Behavioral Strategy for Competitive Advantage2018
Author(s)
T.K.Das, Katsuhiko Shimizu, C. Chen, P. Meyer-Doyle, W. Shi, B. Konduk, T. Hamada, T. Kobashi, J. Lee, S. Kim, J. cummings, D. Luvison, A. Damci, D. Arditi, G. Polat, A. Najmaei
Total Pages
243
Publisher
IAP
ISBN
978-64113-435-4