2022 Fiscal Year Research-status Report
A Study of Development and Popularization of Job Evaluation Method peculiar to Equal Pay Principle
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18K01812
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
遠藤 公嗣 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (20143521)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 賃金 / 同一価値労働同一賃金 / 均等待遇 / ILO / 賃金透明 |
Outline of Annual Research Achievements |
海外調査ができないまま、これまでの私の同一価値労働同一賃金研究をとりまとめる作業を進める中で、2つの新たな論点に気づき、その研究を進展させた。 1つは、同一価値労働同一賃金原則について欧米の現状をサーベイするうちに、その発展の最先端に位置するのが賃金透明政策であること、そして、それが国際的に展開中であること、これらに気づいた。関連する英語文献が続々と公刊されていて、それらの文献研究を実施した。その成果は、秋の学会発表論文である遠藤公嗣[2022]と、同題名だが、小修正した論文である遠藤公嗣[2023]である。 いま1つは、同一価値労働同一賃金原則の日本への受容を研究するうちに、意外な事実に気づいた。その1つは、1948年前半にすでに、本原則がILO100号条約となることを予期して、労働省婦人少年局長の山川菊栄は準備作業を開始しているらしいことである。また婦人少年局としての公式検討は1950年2月頃からはじまっている。ちなみに、100号条約案がILOで議題となることの公式決定は1949年6月であり、実際の審議開始は1950年6月で、条約採択は1951年6月であるから、これらはそれよりも相当に早い。その理由は十分に推測できるが、現在、それを裏付ける資料研究を進めている。この点について海外資料調査が必須なこともわかってきた。 日本における戦後初期の受容の研究は、単に歴史研究ではなく、現在に至るまでの、日本における同一価値労働同一賃金原則の歪んだ受容のあり方に決定的に影響している。これは非常に重要であることを、ますます感じるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
私の同一価値労働同一賃金研究をとりまとめ、それを一研究書として刊行する準備を着々と進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
米国ハーバード大学図書館所蔵の、米国労働省女性局長であったミラーの文書、および、その娘のエリザベスの文書の調査が必要である。また、カナダのオンタリオ州での同一価値労働同一賃金の実施上を調査する必要がある。これらを年度内に実施する。そして、研究のとりまとめを進め、なるべく早く研究書を公刊したい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、海外に出張する調査ができず、その経費を支出する必要が無かった。本年度は海外出張ができるはずであり、その経費が必要である。
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