2021 Fiscal Year Research-status Report
Fraud Prevention Management in Non-Profit Organizations
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18K01816
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
小室 達章 金城学院大学, 国際情報学部, 教授 (00335001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高浦 康有 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (00340216)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 非営利組織 / NPO / 組織不正 / 協働 / コレクティブインパクト |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究概要は以下の3点である。 第1に、非営利組織に関する文献レビューや資料収集を一層充実させた。コロナ禍が続き、対面でのインタビュー調査やヒアリング調査を実施することができなかった。そのため、文献レビューや資料収集によって、非営利組織の不正を分析する枠組みを精緻化することとなった。非営利組織の不正を分析する新たな視点として、非営利組織と行政との関係、非営利組織と企業との関係、特に、非営利組織を取り巻く連携・協働という現象にも焦点を当てる重要性を認識するに至った。この研究成果については、非営利組織におけるコレクティブインパクトに関する図書(分担執筆)において発表した。また、組織構成員の幸福度・満足度などの指標の重要性についても認識し、その考察を非営利組織の季刊誌に掲載した。 第2に、非営利組織に限らず組織不正全般に関する文献研究を進めた。一概に組織不正といっても、組織目的のために個人が行う不正や、個人利益のために組織に損害をもたらす不正など、組織不正における多様性を認識することで、それぞれの発生メカニズムや現象が異なることを明らかにした。特に、誰のための不正か、どのように不正は起こるのか、どのように不正は定着するのかにおいて、先行研究を整理した。組織不正全般に関する文献研究については、学会誌において学術論文として発表した。 第3に、非営利組織における不正が目新しい現象ではないものの、この重要な問題の研究を妨げている大きな要因が、包括的な定量データが少ないことにあると考え、非営利組織の不正に関するデータセットの作成を試みた。具体的には、新聞記事データベースから非営利組織の不正に関わるサンプルを独自に抽出し、定量的データセットを作成した。また、そのデータを活用して不正の要因・影響について分析する。現在、学会報告・論文投稿に向けた準備作業を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍が続いたため、対面でのインタビュー調査やヒアリング調査を実施することができず、事例分析等の詳細な定性的研究の成果を発表するには至らなかった。しかしながら、文献レビュー、資料収集、新聞記事データベースを活用したデータ作成などを行うことで、当初の研究目的を達成しつつある。その意味では、おおむね順調に進展していると評価した。このように一定の成果は出ているとはいえ、非営利組織の不正の発生メカニズムの解明や不正防止マネジメントの提言には、事例分析など詳細な定性的研究およびインタビュー調査やヒアリング調査による当事者意識の把握が必要となる。これらの研究を遂行するために、補助事業期間の延長を申請することで、対面でのインタビュー調査やヒアリング調査を実施するという研究計画を継続することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
事例研究など詳細な定性的研究およびインタビュー調査やヒアリング調査による当事者意識の把握という当初の研究目的を達成するためにも、対面でのインタビュー調査やヒアリング調査を実施したいと考えている。しかしながらコロナ禍の状況が改善しない場合、これらを実施することは困難となる。対面でのインタビュー調査やヒアリング調査の実施が難しい場合、これまでと同様に、文献レビュー、資料収集、新聞記事データベースを活用したデータセット作成をより一層充実させることで、着実に研究成果の発表につなげていく。特に、新聞記事データベースを活用した非営利組織不正に関する定量的データセットの作成は、非営利組織不正研究における定量研究の促進に大きく寄与すると考えている。そのため定量的データセットの作成とともに、PCやデータ分析ソフトを充実させ、定量研究の一層の促進を図っていきたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、対面でのインタビュー調査やヒアリング調査を実施することができなかった。また、対面での学会が開催されなかった。そのため調査にいくための旅費、学会発表ための旅費を計上することがなかった。文献レビュー、資料収集、新聞記事データベースを活用したデータ作成など研究方法を変更したり、オンラインでの学会参加に切り替えたりしたものの、予定していた旅費に相当する金額を使用するに至らず、次年度使用額が生じることとなった。
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