2018 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of utilization of joint venture experience toward building an alliance capacity
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18K01817
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
趙 偉 中部大学, 経営情報学部, 教授 (60303583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小沢 浩 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (40303581)
小室 達章 金城学院大学, 国際情報学部, 教授 (00335001)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アライアンス能力 / 組織文化 / 知識移転 / 合弁企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は4ケ年計画で実施される。第1年度に当たる2018年度の研究概要は以下の3点である。 第1に、海外進出企業が国際合弁の経験を通じて、グローバル事業展開におけるアライアンス能力をどのように構築したのかについて、先行研究を整理したことである。先行研究を分析することにより、(1)合弁事業においては,協働という経験を通して多様な知識が移転されるが、知識が完全に移転するには時間がかかる。(2)合弁企業に移転される様々な技術においては、親企業の文化の優れた部分を融合し、「第3の文化」を築き上ける能力に大きく影響されることが分かった。以上のアライアンス能力に関する研究成果は、国際学会で発表した。 第2に、トヨタとGM が合弁で設立した自動車の製造会社・NUMMIの事例分析である。(1)NUMMIのすべての労働協約書の整理・分析、(2)これまで行なってきたNUMMIの経営に携わってきた人達へのインタビュー調査の整理・分析である。これらの作業から、組織内の労使関係・人間関係の動きを読み解くことができ、NUMMI独特の文化の形成プロセスや、社会システムを強化する作業組織を構築することの合理性を説明することが可能となった。NUMMI研究に関する成果は、学会報告および学術論文として投稿する予定である。 第3に、国際合弁における組織文化に関する先行研究を整理・分析したことである。「第3の文化」の形成プロセスにおいては、「融合」、「支配」、「セグメンテーション」および「崩壊」という4つのパターンが存在し(Child, J., D. Faulkner, and S.Tallman,2005)、国際合弁企業においては、「融合」というカテゴリーが最も有効であるという分析枠組みを導出した。これらの分析枠組みは、今後の事例分析において活用していくこととなり、今後の研究の方向性を見出すこととなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展していると評価する理由は、以下の2点である。 第1に、アライアンス能力および組織文化の形成についての既存研究を整理することで、(1)合弁企業における技術移転は「第3の文化」の創出およびその中心的な役割を明らかにし、それを研究成果として発表できたことである。(2)また、組織文化の形成が、技術移転を促進させるということだけでなく、国際合弁企業における技術移転の「時差」に着目し、国際合弁事業における技術移転・知識移転の在り方を提示することができたことである。こちらの研究成果は、学術論文として投稿する予定である。(3)さらに、組織文化の「融合」という文化形成メカニズムに着目し、今後の研究の方向性を導出できたことである。 第2に、NUMMIの事例分析を行うことで、合弁経験を、技術システム(生産方式、品質管理、原価管理など)と社会システム(組織文化、人間関係、労使交渉など)の2つの側面から分析ができ、その分析成果を、研究成果として発表できたことである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策については、以下の3つである。 第1に、国際合弁企業における組織文化形成メカニズムについて、学術論文として成果を発表することである。 第2に、NUMMIという国際合弁企業の25年史を整理し、合弁経験から抽出されたアライアンス能力を経営学史としてまとめることである。また、これらの研究成果については、学会報告および学術論文として発表する。 第3に、NUMMIでの経験を体系化するため、NUMMIの関係者にヒアリング調査を継続して実施する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、ヒアリング調査にかかる費用が先方との調整ができなかったという理由により、かからなかったためである。次年度においては、アメリカ現地へのヒアリング調査のために旅費として使用すると共に、国内学会、国際学会での発表の旅費と参加費として、また、学術論文の投稿に際しての英文の校閲費にも充てる予定である。
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Research Products
(3 results)